政治風刺が得意だった三遊亭円楽さんと、国民は風刺でたくましく生きる

日本語記事
スポンサーリンク
Translation / 翻訳

 6代目三遊亭円楽さんが亡くなった。「笑点」で隣に座る年長の桂歌丸さんを「じじい、ハゲ、老い先短い」などと攻撃するなど、「腹黒」やキザ、衒学的なキャラクターで売っていたが、「腹黒キャラクター」は他のメンバーからも攻撃されることがしばしばあった。
「ガングロです。腹黒よりまし。」(林家こん平)

実は仲がよかった?
https://www.kanaloco.jp/news/life/entry-77904.html


 安倍政権を批判すると、安倍支持層からネットで攻撃されることもあったが、意に介する様子はなく、事実をついて風刺していて面白かった。安倍政権が国民の反対の声が多い中で安保法制の成立に前のめりになると、安保法制が成立する直前の2015年8月27日放送の「24時間テレビ」の笑点コーナーでは、「24時間テレビ」に引っ掛けて、「――かん――び」の傍線部分に言葉を当てはめるというお題で「安倍さん、聞いてください、政治に不信“かん”、国民の叫“び”」と回答して、会場からは同感!とばかりに大きな拍手がわき、司会の歌丸さんの「座布団1枚!」の声。

アマゾンより


 2018年5月27日放送の「笑点」では周囲の騒音や苦情に耳をふさいで一言というお題で、円楽さんは「安倍晋三です」「どうしたの?」「トランプ氏から国民の声は聞かなくていいと言われました」と答えた。林家たい平さんも「麻生太郎です」「どうしたの?」口をひん曲げて麻生氏の物まねをしながら「やかましい!」と回答した。さらに林家木久扇さんも耳をふさぎながら「うるせーな」「どうしたの?」「沖縄から米軍基地がなくなるのはいつなんだろうね」と答え、3人とも春風亭昇太さんから座布団1枚をもらった。

ひょっとこの麻生太郎氏
https://twitter.com/iqura17peace/status/1285386813578698752


 数字の「1(い)、2(に)、3(さん)」にかけ、それぞれの頭の文字の音を使うお題では「今(1.いま)の、日本(2.にほん)、民主主義(3をみっつにかける)国家ですか」と回答し、また桜を見る会の名簿破棄が問題になると、昇太「長い行列ですね~」円楽「えぇ、これシュレッダーの順番待ちなんですよ」と回答した。


 桂歌丸さんとともに、政治風刺をよく行ったが、批判の矛先は自民党だけでなかった。有名人と行くツアーパックというお題で、円楽さんは「山本譲二と行くみちのく一人旅ツアーです。歌手ではなく、民主党の譲二が出てきて参加費をくすねました。」


 民主党の山本譲二議員(歌手と同姓同名)は政策秘書の給与をだまし取り、政治資金収支報告書を改ざんし、詐欺と政治資金規正法違反(虚偽記載)で2001年2月に懲役刑を受けた。


 また、「はなさかじいさんになって一言」というお題では「防衛施設庁に花を咲かせましょう」(「あっぱれあっぱれ」の司会者の声)「花より談合か」と答えた。(2006年3月)


 さらに、「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」という織田信長の俳句の「~なら~しまえ」を使うお題では「できぬなら直してしまえマニフェスト」と回答してマニフェストを実現できない民主党政権を皮肉った。(2010年3月)


 また、被爆国の日本がアメリカの核の傘の下に入り、核兵器禁止条約にも参加しないと、円楽さんは「核じゃない傘あったらいいな 日本を守る傘」と回答している。


 2006年3月26日放送の「こんな政治家は嫌だ」というお題では「自民党から新進党へ行って新生党から自由党へ行って、それから保守党に行って自民党に戻る政治家と二階進氏を皮肉った。
 このお題では他のメンバーたちもいろいろ答えている。


「悪いこともしないけれどもいいことも全くしない政治家」(林家たい平)
「ワイロを送ると、『お主もワルよのう』と言う政治家」(林家木久扇)
「うちのラーメン店に公的資金を投入しない政治家」(林家木久扇)←(「いくらつぎ込んでも無駄だよ」と司会の歌丸さんの声)
「外遊というものを外国で遊ぶものと思っている政治家」(三遊亭好楽)
「国民の血税のことをお尻の税金だと思っている政治家」(林家たい平)
「政策をもまないでおっぱいをもんでいる政治家」(三遊亭小遊三)
「副総裁ですか、と聞かれて『便所でお尻を拭くそうさい』と答える政治家」(三遊亭小遊三)


 落語は伝統的に世の中を風刺する芸術だった。昔から人々は落語の世相風刺を聞いて「我が意を得たり」と思って笑い飛ばしてたくましく生きてきた。これからも批判などに臆することなく、落語家は世相を風刺してほしい。それが落語の伝統だ。『笑点』の政治風刺に対して苦々しく思っていた政治家がある時、飛行機から降りる時に桂歌丸さんを見つけて「あまり政治家の悪口を言うなよ」と言うと、「悪口言われるような政治家になりなさんな」と言い返したら政治家は黙ってしまったという。円楽さんにはもっと長生きをして大いに皮肉りまくってほしかったが、比較的若いのに病魔に襲われたことはつくづく残念に思う。後任は誰になるだろうか。新しくメンバーになった桂宮治さんも政治風刺をするようになり、たくましく見える。
アイキャッチ画像は三遊亭円楽さん
https://www.tokyo-np.co.jp/article/152162

「原稿を丸読みする森総理です。失言するよりまし。」―三遊亭好楽
https://mainichi.jp/articles/20210205/ddm/041/050/066000c
日本語記事
miyataosamuをフォローする
Follow by E-mail / ブログをメールでフォロー

If you want to follow this blog, enter your e-mail address and click the Follow button.
メールアドレスを入力してフォローすることで、新着記事のお知らせを受取れるようになります。

スポンサーリンク
宮田律の中東イスラム世界と日本、国際社会

コメント

宮田律の中東イスラム世界と日本、国際社会をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

タイトルとURLをコピーしました