ブレア元首相の「戦争犯罪」を追及するイギリス国民と、「日本はどうか?」

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 イギリスでは新年の叙勲で「ナイト(Knight)」爵となったトニー・ブレア元首相の爵位を取り消すように求める署名が70万人以上も集まった。合理的な理由もなく、虚偽の説明をしたブレア元首相は「戦争犯罪」に相当するという声も上がっている。


 ブレア首相は、2002年9月に、イラクが生物・化学兵器を保有し、命令から45分後に配備可能であるという「証拠文書」を明らかにした。ブレア首相は、サダム・フセインはイギリスの安全保障にとって深刻な脅威であると述べ、イギリスの日刊紙「サン」は「イギリスの破滅まで45分」という見出しともにこれを報じた。しかし、ブレア首相の説明はまったくの虚偽、デタラメだった。
 ブレア首相の虚偽の説明によってイギリス軍関係者・イギリス人179人がイラクで死亡し、さらに重要なことは、イラク人は50万人とも60万人とも見積もられるほど多数の人々が理不尽で、不要な戦争のために亡くなった。


 2016年7月、イギリスのイラク参戦と戦後処理を検証する独立調査委員会の報告書は、トニー・ブレア元首相の判断を誤りと断言する内容だった。サダム・フセインが大量破壊兵器を保有していたとするブレア首相の判断は「正しくなかった」と結論づけた。


 イギリスではブレア首相の責任を追及する動きがあるが、日本はどうか。


 小泉純一郎首相(当時)は、記者会見で「アメリカの武力行使を理解し、支持いたします」と述べ、「ブッシュ大統領は開戦の判断は正しかったと発言している。日本は国連決議に沿って判断した」などと述べて真っ先にイラク戦争を支持した。しかし、武力行使を容認する国連安保理決議は成立しなかった。ブッシュ大統領が正しいと言えば正しいというのは国際的に見ても大変恥ずかしい発言だった。
 また、2005年から07年まで外相を務めた麻生太郎氏は「イラクから発せられるテロの脅威が著しく減退したことは確かだ」と述べたが、その後イラクでは日本人に対してテロを行ったISも誕生して、実際に政治支配までも行った。麻生氏の発言もまったくの的外れだった。


 イギリスでは、独立調査委員会がブレア元首相の責任を追及したが、日本ではイラク戦争支持の小泉政権の姿勢を追及、反省することがないままである。過去の誤りを省みることがなければ、また同じ過ちを繰り返すになる。イラク戦争支持の無責任は、日本人が過激派のテロの被害を受ける背景にもなり、また自衛隊は安全も確保されていないイラクに派遣されたが、小泉氏は「自衛隊が派遣されているところは非戦闘地域である」などと無責任な発言をしていた。日本人は先の大戦でも日本人自らの手で戦争責任を追及することがなかった。政治・外交が無責任で良いはずがない。

アイキャッチ画像は

ブレアの戦争犯罪を問うアートですね
https://english.alarabiya.net/variety/2013/10/17/Tony-Blair-Iraq-selfie-stars-in-UK-art-exhibition-?fbclid=IwAR3L1vmBPgVSWb6vNz4nQGklYGoo3kj6XZhKkk2ReThDftbV0cVo_5gdZ6A

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