日本人の魅力を大切にしたい

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Translation / 翻訳

 2015年2月にウイグル国際会議議長ラビア・カーディル(カディール)氏の「中国の少数民族問題 -ウイグルの視点から」という研究会を催したことがあったが、その際、カーディル氏から「日本人の礼儀正しさ、勤勉さを尊敬している」という発言があった。


 メルマガでも書いたが、すでに明治時代から日本を訪れたムスリムは日本人の礼節を評価している。東京ジャーミィ(モスク)の初代イマーム(礼拝の導師)となるアブデユルレシト・イブラヒムは日本人の清潔さ、礼儀正しさ、正直、道徳心、これらはヨーロッパ人(ロシアなど帝国主義諸国を念頭に置いているのだろう)にはないもので、その点で日本人は「我々イスラム教徒にふさわしいほど高貴である」と考えた。


 イブラヒムはヨーロッパ帝国主義に対抗する上で、イスラムの徳を備えている日本人は同盟勢力とふさわしいと考えた。日本人は自分たちの礼儀をわきまえた民族精神を捨ててはならず、それはイスラムによってこそ支えられると考えた。イブラヒムは決して荒唐無稽な人物ではなく、イスラム研究の碩学・井筒俊彦は、イブラヒムがコーランをはじめあらゆる典籍を完全に暗証していることに驚き、彼から学問の何たるかを教えられたと尊崇の気持ちが湧いたことを回想している。


 日本人の礼儀正しさへの評価は、おそらくイスラム世界だけでなく、世界全体からの評価であろう。昨年オリンピックの野球競技で、リリーフの栗林投手がダイヤモンドに入る前に帽子をとって一礼してからマウンドに向かっていった。礼儀についてはラフな印象もあるアメリカの野球選手たちから見たら驚愕すべきことだったろう。


 日本文学者のドナルド・キーン氏は2015年10月にNHKで放映された『私が愛する日本人へ~ドナルド・キーン 文豪との70年~』で日本人の特徴を「1.曖昧(余情) 2.はかなさへの共感 3.礼儀正しさ 4.清潔 5.よく働く」と指摘していた。キーン氏は同じ番組で日本人へのメッセージとして、「私はだいたいにおいて日本は良い方に来たと思う。しかし自分たちの伝統に興味がないということはひとつ弱点だと思う。一番良いことは過去のものの良さを勉強して知るようになって自分のものにすることだ。自分がそういうもののなかから特別な愉しみを得ることが必要。伝統は時々隠れている。見えなくなる。しかし流れている。続いている。それが日本の一番の魅力です」と語った。


 日本人の「一番の魅力」を大切にしたい。日本人の魅力はウイルスの予防や、テロの標的にならないなど日本人の安全を高めることにも役立っている。さらにこれから発展を遂げたい湾岸のアラブ諸国などでは日本人の秩序ある礼儀正しさは経済発展の秘訣とも考えられている。

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