堀田善衛が現代文明に訴えるもの

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 フランスの作家サルトルが人権を唱える国のフランスが植民地を抑圧することに反対し、アルジェリア独立戦争(1954~62年)を支持したように、フランス文学者でもあった作家の堀田善衛(1918~1998年)は、独立運動の中心にあった「民族解放戦線(FLN)」に共感をもった。堀田は、1959年にアジア・アフリカ作家会議日本協議会事務局長に就き、民族解放運動に参加して弾圧されるアルジェリアなどアフリカの作家たちが人間解放という課題に真正面から取り組む姿勢に作家として大きな刺激を受けたという。ちなみにアルジェリア独立戦争を取材した村松剛は、堀田善衛を介してアルジェリア独立を担った民族解放戦線(FLN)の軍事部門であるアルジェリア国民解放軍(ALN)に接触したことがあった。

アルジェの戦い の映画情報 – Yahoo!映画 


 堀田善衛は、放射能に汚染された南の島の守護神であった怪獣が文明社会に憤り、日本を襲うという映画「モスラ」の原作者でもあった。


 アニメの宮崎駿監督が最も尊敬する人物とされ、堀田善衛の『空の空なればこそ』の中の「汝の手に堪うることは力を尽くしてこれをなせ」という言葉を座右の銘にしているという。スタジオジブリは2004年、堀田善衞氏の著作の3作品を復刊し、堀田氏が出演した「NHK人間大学」などの番組をビデオグラム化した。


「言論は無力であるかもしれぬ。しかし、一切人類が、『物いわぬ人』になった時は、その時は人類そのものが自殺する時であろう。・・・・・・」-堀田善衛


 米国のトランプ前大統領などが「フェイクニュース」と語り、サウジアラビアの政府批判のジャーナリストが殺害される今に生きる言葉である。


 湾岸戦争(1991年)についても「国是(憲法)というものを、いたずらにいじってはいけない。私は銭出すだけでいいと思うよ。経済国家だもの。銭こだけで何が悪い」と述べている。(堀田善衛・司馬遼太郎・宮崎駿『時代の風音』朝日文庫、1997年)


 その湾岸戦争の直後、サミュエル・ハンチントンは「文明の衝突論」を出し、世界の各宗教文明は対立を深めていくことを説いたが、堀田善衛はイスラム・スペインに文明の共存の姿を見出した。

スペイン・グラナダ アルハンブラ宮殿にて 2021年10月


「イスラム王朝は、ユダヤ教徒に対しても差別しなかった。むしろ彼らを重用したのであった。だから、イスラムのスペインにあって、キリスト教徒から自発的にイスラムに改宗した人もいれば、両者の通婚も自由であった。こうして時代がうつって行くと、イスラム教徒もキリスト教徒も次第に、スペイン人としてのアイデンティティをもつようになり、両者ともに近代スペイン語の先祖であるロマンス語とアラビア語の二カ国語を話すようになり、これが複合し熟成して行って、語彙の10パーセントがアラビア語源、あるいはそれとの複合語である現行スペイン語が出来ていったのである。イスラム教徒は如何なる意味でも“外敵”ではなかった。(後略:堀田善衛著「ゴヤⅠ スペイン・光と影」)
アイキャッチ画像は https://books.j-cast.com/2018/12/04008323.html より

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