僕は戦争は大きらい~やなせたかしさんが語る戦争

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Translation / 翻訳

 やなせたかしさんの著書『僕は戦争は大きらい』(小学館、2013年)は、戦争を語るのも思い出すのも嫌だったやなせさんが戦争体験をまとめたものだった。


 やなせさんは、「世の中全体が嫌なものはみんなやっつけてしまおう、というおかしな風潮になっている。『アンパンマン』の中で描こうとしたのは嫌な相手とでも一緒に暮らすことはできるということ。日頃からがんばって、みんなが戦争なんてしなくてすむ世の中にしよう。」と語っている。やなせさんのこの発言は日本がイラク戦争などでアメリカ支持を鮮明にし、アメリカとの集団的自衛権が主張される中で生まれたものだ。

https://twitter.com/cont_mama/status/390013530155409409


 現在、ロシアが行っていることは侵略行為でまったく許容できないが、日本はただアメリカに追随してロシアに経済制裁を科し、ウクライナ難民を受け入れ、ウクライナに防弾チョッキを提供するだけでよいのかという気がしている。ウクライナ難民の受け入れなど従来のパレスチナ難民やシリア難民のそれに比べたら破格の扱いだ。


 日本は、安倍政権時代にロシアと経済交流を促進したが、それはプーチン政権の課題にも合致するものだったろう。ロシアと少なからぬ経済関係をもってきた日本にはロシアのウクライナ侵略(日本政府はこの言葉を使っている。ロシアに対して使うならば、アメリカのイラク戦争も「侵略」だった)」についてもできることがあるはずだ。日本政府にも停戦に向けて貢献できることがあると思うが、しかし目下のところ日米同盟しか視野に入っていない様子だ。ウクライナ危機が去った後、日ロ関係の修復もアメリカに追随するばかりだと困難になることは言うまでもない。

https://twitter.com/search?q=%23%E3%82%84%E3%81%AA%E3%81%9B%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%81%97%20lang%3Aja


 やなせたかしさんは絶対的正義とは食べることだと主張していた。やなせさんは「アメリカにはアメリカの“正義”があり、フセインにはフセインの“正義”がある。アラブにも、イスラエルにもお互いの“正義”がある。つまりこれらの“正義”は立場によって変わる。でも困っている人、飢えている人に食べ物を差し出す行為は、立場が変わっても国が違っても『正しいこと』には変わりません。これが『絶対的な正義』なのです」と述べていた。日本が「積極的平和主義」を唱えるならば、迅速に停戦が実現し、人々が通常のように食べれる生活を回復できるように貢献すべきである。


 戦争は環境破壊をもたらし、劣化ウラン弾などが使用されれば土壌の汚染によって農地が使えなくなり、世界の食糧事情に重大な影響をもたらす。すでに世界最大の小麦の輸入国であるエジプトなどでは、小麦価格の上昇が庶民生活を直撃するようになった。


 国際社会にとって何の利益をもたらさない戦争をいち早く終わらせるための努力や方途を日本政府には見つけてほしいとつくづく思う。


アイキャッチ画像はメルカリより

深田恭子
https://eiga.com/news/20200326/1/
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