ロシア語の「世界」と「平和」は同じ言葉とオクジャワの「祈り」

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 2021年夏に開かれた津田塾大学の「平和を祈る世界の詩歌 音と文字の饗宴」ではブラート・オクジャワ(1924~1997)の「祈り」が謡われた。その際、東京外国語大学名誉教授の渡辺雅司氏からロシア語では「世界」と「平和」は同じ言葉「ミール」であることが強調された。https://www.tsuda-jyuku.org/file/show/2002 

津田塾大学の催し「平和を祈る世界の詩歌」
https://tsuda-jyuku.org/event/announce/104


〔祈り〕―ブラート・オクジャワ
主よ 私は信じる あなたの叡智を 殺される兵士は見る筈 天国への夢
誰もが信じてる あなたのお告げを おのれのことさえ 知らないままに
https://www.youtube.com/watch?v=yqvN3-WDbHA


 来週2月4日(金)から北京オリンピックが始まるが、2008年の北京オリンピックの際にロシアはジョージアに侵攻した。今回も国際的なイベントに乗じて同様な行為に出る可能性も指摘され始めている。ロシアは、ウクライナと同様に、ジョージアのNATO入りについても反対している。プーチン大統領は、ジョージア国内のオセチア人を虐殺から救うことを2008年の侵攻の口実としたが、そのような客観的情勢にはなかった。ロシア軍が侵攻した南オセチアには親ロシア派の住民が多かったが、その点でもウクライナ東部と似ている。


 ジョージア人を父にもつ詩人・歌手のブラート・オクジャワは、スターリン時代に両親がともに政治犯として逮捕・拘留された。1942年にドイツとの戦争に志願して前線に赴くが、戦争の悲惨さを目の当たりにして生涯にわたって戦争を否定するようになった。次の『グルジア(ジョージア)の歌』も憎悪に満ちる戦争とは対極にある愛や平安の世界を表現したものだ。これも渡辺歌子さんの歌の動画がある。
( https://www.youtube.com/watch?v=fMqo_XVcvJ0 )

渡辺歌子さん
メルカリより


グルジアの歌 -ブラート・オクジャワ
葡萄の種を熱い土に埋めて 蔦にくちづけ その房を取ろう
心に実りの喜び響かせ それなくて何の地上の命
友よ僕の宴に集い 話しておくれ 僕が君の何かを
神も僕の罪を許してくれるだろう それなくて何の地上の命
恋人が優しく歌えば 僕は耳傾け頭をたれる
愛に生きやがて僕は愛に死ぬだろう
それなくて何の地上の命・・・・夕暮れが隅々に立ち寄りながら訪れる頃
想い出の幻が私の目の前を通り過ぎて行く
青い鷲、白い水牛、金色の魚よ それなくて何の地上の命 それなくて何の地上の命

ジョージアの伝統衣装
http://mobamin.com/stay-in-georgia-and-everything-about-it/


 戦争はロシアでもその軍需産業に大きな利益をもたらすようだ。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、2016年から2020年にかけて世界の武器輸出の5分の1をロシアが占めたが、ロシアによる勢力圏の確保はその武器輸出にとって重要と言える。ロシアがシリアのアサド政権を支える理由はそこにあり、シリア内戦はロシア製兵器の「ショールーム」という形容もあるくらいだ。ロシアの兵器産業では250万人から300万人が雇用され、ロシア経済の維持のためにも戦争は必要とも思われ、NATOの拡大はロシア製兵器が市場を失うことにもなる。しかし、「世界」が不安定で分断が進むよりも、「平和」で安定していて経済交流が活発なほうがロシア経済の利益にかなうだろう。ロシアはクリミア半島の併合による経済制裁で多くのものを失ったはずだ。

アイキャッチ画像はオークファンより

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