戦争は政府と政府の戦い ―市民が犠牲になるのはまっぴらごめんだ

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 2014年8月に他界した俳優の米倉斉加年さんは、小学校4年生の時に福岡市から福岡の農村に学童疎開した。疎開先でイジメに遭ったり、また栄養失調で生まれたばかりの弟が亡くなったりした戦争体験がある。「子どもにまで被害が及ぶ戦争を二度と起こさないため、憲法が掲げる平和主義を大事にしてほしい」と訴え続けた。

 2003年に「東京新聞」の「自著を語る」のコーナーで、弟の死やイラク戦争などの子供たちの犠牲に触れつつ「人間はなにかをなすべきだとは思わない。りっぱな人間にならなければならないとも思わない。大切なことは普通に生きることなのだ」と語り、さらに2003年2月に、作家小林多喜二をテーマにした舞台を前にして「東京新聞」への寄稿で「湾岸戦争、アフガン戦争。そして、ここのところのイラク問題。アメリカに加担している日本に、戦前の多喜二の死の時代が重なってくる」と懸念した。

 イラク・サマーワに自衛隊を派遣するなどアメリカに加担したり、アメリカの最大の同盟国であるイスラエルとの「防衛協力」(2015年5月のネタニヤフ首相訪日の際の共同声明)を推進したりしても、アメリカは北朝鮮の軍事的脅威に有効に対応できず、むしろ朝鮮半島の危機は増すばかりだ。北朝鮮の問題は一義的には、北朝鮮とアメリカの二国間の問題であり、日本とすれば冷静に事態の推移を見守ったらどうか。

 昨日、朝日新聞の夕刊に「豪兵救った軍医へ 70年ごし感謝」という記事があった。太平洋戦争中、赤痢にかかったオーストラリア兵の捕虜を日本人軍医が泰緬鉄道建設の業務に就かせることなく、彼の命を救い、それに対して元捕虜の子どもたちが軍医を探し当ててその夫人ら家族に感謝するというものだが、最後に元オーストラリア兵の娘さんたちは「戦争は政府と政府の戦い。多くの人が苦しむだけだ」と語っている。

http://digital.asahi.com/articles/DA3S13107087.html

米倉斉加年さんは、小学校4年生の時に福岡市から福岡の農村に学童疎開した。疎開先でイジメに遭ったり、また栄養失調で生まれたばかりの弟が亡くなったりした戦争体験があった。「子どもにまで被害が及ぶ戦争を二度と起こさないため、憲法が掲げる平和主義を大事にしてほしい」と訴え続けた。ロシアのウクライナ侵攻を受けて反撃能力などの勇ましい議論が政界では聞かれるようになったが、まず日本が戦争をしないための知恵や工夫を政治家たちは議論すべきだろう。日本に逃れてきたウクライナ避難民からも日本の良いところはミサイルが飛んでこないところという発言があった。

愚かな政治指導者たちの考えや判断の下で私たちや私たちの将来の世代が、苦しんだり、犠牲になったりするのはまっぴらごめんだ。

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