ベンチャーズの「さすらいのギター」、加藤登紀子の満州と渋沢栄一の平和主義

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Translation / 翻訳

ベンチャーズ The Ventures/さすらいのギター Manchurian Beat は(1971年)
(動画は https://www.youtube.com/watch?v=Ctmtr3OCyUY にある)、フィンランドのグループ・サウンズの「さすらいのギター / Manchurian Beat(動画は
https://www.youtube.com/watch?v=LeY7oXeogvU にある)のカバー曲だった。サウンズの「さすらいのギター」は北欧でかなりヒットしたらしい。副題の「Manchurian Beat」は直訳すれば、「満州の鼓動」ということか。


 この歌は加藤登紀子のアルバム「ロシアのすたるじい」の中で「満州の丘に立ちて」といいうタイトルで情感豊かに歌われるが、彼女は満州ハルビンで生まれ、戦後も母親の経営するロシア料理レストランで働く亡命ロシア人の歌を聴きながら育ったというから満州のロシアの歌には特別な思い入れがあったことだろう。

このアルバム好きです
https://www.discogs.com/release/12632424-%E5%8A%A0%E8%97%A4%E7%99%BB%E7%B4%80%E5%AD%90-%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AE%E3%81%99%E3%81%9F%E3%82%8B%E3%81%98%E3%81%84?fbclid=IwAR2i0mVH7fyjqkxaqS1IuKST78n3qLIpT8Eko9QuSSNkScWydRRbRbxT0zM


 この「満州の丘に立ちて」は日露戦争の時に奉天会戦(1905年2月から3月)に参戦したロシア軍の軍楽隊長イリア・アレクセエヴィッチ・シャトロフという人物が1906年につくった「満州の丘のモクシャ連隊」というタイトルの吹奏楽で、日本軍との戦いで亡くなった将兵たちを追悼するためにつくられた曲と言われている。「モクシャ」とは「モクシャ語は、ウラル語族のフィン・ヴォルガ諸語に属する言語である。」「モクシャ語はロシア連邦のモルドヴィア共和国西部において大多数が使用する言語である」だそうだから(用例.JP)、現在のモルダヴィア共和国西部出身の人々を中心に構成されていた連隊だったのだろう。ロシア軍の死者は訳、8,700人、日本軍は約16,000人だったというから激戦だった。


 「満州の丘に立ちて」の訳詞は笹谷榮一郎氏によるものだが、
しずかに 霧は流れ
荒れ果てた たたかいも今は過ぎた
十字架にひざまづいても
眠る若者達は 二度と帰らぬ
泣け 泣け 母よ
涙ながせ 妻よ
泣けよ ロシア
ひとつに さだめを背負う


 と歌われ、戦争の悲劇を表したもので、1950年代に歌声喫茶でよく歌われた。
 日本の満州進出は、日露戦争までは中国人からも好意的に見られたのだろう。日露戦争があった1905年に孫文は東京で中国同盟会を結成し、革命運動を推進していくことになった。


 ロンドンでの留学を終えた若き孫文が、帰国の途中スエズ運河を通過するためポート・サイードに立ち寄った際に、現地のエジプト人たちから「バルチック艦隊を全滅させた日本の勝利を知った。共に喜んでほしい」と聞かされたというエピソードを、1924年に来日し、神戸で「大アジア主義」という講演をした際に語っている。


 中国人の対日感情が曇るようになったのは、第一次世界大戦の「対華二十一カ条要求」を契機にするものだったのだろう。渋沢栄一は、第一次世界大戦の末期の1918年に「竜門雑誌 第三五八号」)で「生産殖利によって武力を拡張し、これによって他国を併呑するのは、これ国際道徳を無視した野蛮の行為である」と説いている。1926年11月11日、第一次世界大戦の休戦から8年の記念日にラジオで世界平和を訴え、「国際間の経済の協調が、連盟の精神をもって行はるるならば、決して一国の利益のみを主張することはできない。他国の利害を顧みないということは、正しい道徳ではない。いわゆる共存共栄でなくては、国際的に国をなしていくことはできないのであります。」と述べている。ロシアだけではなく、今の国際社会が傾聴すべき言葉、考えだ。

この言葉の通りです


アイキャッチ画像は https://www.snowrecords.jp/?pid=156246681 より

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