ウクライナとロシアを結ぶ日本のポップス「恋のバカンス」

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Translation / 翻訳

 戦争を行うウクライナとロシアの二国で人気がある日本のポップスがある。1963年にザ・ピーナッツでヒットした「恋のバカンス」だ。「恋のバカンス」は作詞:岩谷時子、作曲:宮川泰によりヒットしたが、2年後の1965年に旧ソ連の人気歌手ニーナ・パンテレーエワによって1965年に『カニークルィ・リュブヴィー』(『恋のバカンス』の直訳)というタイトルで大ヒットした。ロシアでも最も有名な日本の歌という評価もあるくらいだ。
https://trip-nomad.com/trip/russia/russia_famous_jmusic

恋のバカンス ロシア語歌詞 カタカナあり Каникулы любви У моря, у сенего моря
https://www.youtube.com/watch?v=r6_aMyf-xrE


 「恋のバカンス」はソ連では日本の曲だということもあまり意識されなくなるほど、様々な歌手によって何度もカバーされ歌い継がれてきた。日本でも「のど自慢」などで若い女性たちによって頻繁に歌われ、カラオケでの定番曲にもなっている。


 作詞者の岩谷時子さんはマネージャーをしていた越路吹雪や加山雄三の曲に多く歌詞をつけ、またシャンソンの訳詞なども数多く手がけた。「恋のバカンス」は、ウクライナの「Real O(リアル・オー)」という女性ユニットによってもカバーされ、こちらは歌詞も日本語で歌われている。https://www.nicovideo.jp/watch/sm24074396 ソ連時代にロシア語に訳されて大ヒットした「恋のバカンス」だから旧ソ連を構成していたウクライナでも親しまれていることは想像に難くない。


 岩谷時子さんは2013年の第4回「岩谷時子賞」の授賞式の際に「物語が大好きで、言葉が大好きな私は、言葉が生き生きと踊りだすような歌を愛してやみません。・・・この賞が世界のしあわせ・平和に少しでも貢献できますように」と語っている。「恋のバカンス」はまさに言葉が生き生きと踊り出すような歌で、長年にわたって慣れ親しまれてきたこの曲はウクライナとロシア両国民たちのしあわせや平和に貢献できるに違いない。

https://ameblo.jp/sekkoku-y/entry-12454555597.html


 竹山道雄の小説「ビルマの竪琴」では日本の部隊が「埴生の宿」を歌い始めると、戦っていたイギリス軍兵士たちも戦闘を止めて同じ歌を歌い、敵と味方で心を通わせるというシーンがあった。ドイツの歌「リリー・マルレーン」も敵味方を超えて愛唱された。ウクライナとロシアの両国民が音楽などで心を通わせれば平和に至ることが可能なことは、フランス人歌手のバルバラの歌「ゲッティンゲン」が独仏の融和のスタートになったと言われていることにも見られる。歌や音楽が人々に生きていることを実感させ、戦争をバカげたものであることを人々に少しでも思わせることができたらと思う。


 ちなみに日本のポップスが日本の現代史や戦争との関わりで生まれた場合もあり、満州からの引揚者であるなかにし礼さん作詞の「恋のハレルヤ」や「人形の家」は生まれ育った満州への郷愁の想いから生まれたとなかにしさんは語っている。国民の音楽への情感や共感をも奪ってしまう戦争に賛同する人は本来ごくわずかだろう。

アイキャッチ画像は https://www.youtube.com/watch?v=Bstrr80g1a4 より


弘田三枝子 / 人形の家 : ミコ・ベスト・ヒット・アルバム [日本 コロムビア JPS 5197]
https://www.sweetnuthinrecords.com/product/12686
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