911から21年 ―アメリカの闇は深く

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 バイデン大統領は、昨年9月、2001年9月11日の同時多発テロに関する連邦捜査局の捜査に関する関連文書の機密解除を検討するように司法省など連邦機関に指示を出した。911の遺族らは、文書が開示されない限り、9月11日の追悼式典へのバイデン大統領の出席を認めない意向を明らかにしていた。遺族らは文書の中にはサウジアラビア高官の関与を示すものがあると主張している。

https://twitter.com/mjumeda2f/status/1213390184630214656


 2021年9月4日付のTRTの記事は4機目のピッツバーグ郊外に墜落した旅客機は、F16戦闘機によって撃墜されたとしているが、従来はハイジャック犯たちの操縦ミスとか、乗客たちの抵抗とされていた。このように、911の事件には謎が多く、遺族たちの真相を知りたいという想いはよく理解できるように思う。
https://www.trt.net.tr/…/baidenmi-da-tong-ling…
 911へのサウジアラビア王族の関与は、マイケル・ムーア監督の映画「華氏911」でも「どうして911事件直後アメリカの空路が全部ストップしていたにもかかわらず、サウジ王族だけ国外に脱出することができたんだろう」と疑惑がもたれている。実際、911の実行犯19人のうち15人はサウジアラビア人で、「テロとの戦い」は本来サウジアラビアに向けられるべきものだった。
 拙著『黒い同盟 米国、サウジアラビア、イスラエル』(平凡社、2019年)でもサウジアラビアの911への関与について触れた。

メルカリより


 2016年5月に911の同時多発テロに関する議会報告書で黒塗りだった28ページの部分が公表された。これは、2002年12月に米議会の両院合同の調査委員会が報告書の一部で、当時からサウジアラビアの関与についての記述があるものと疑われていた。明らかになった文書では、サウジアラビアの外交官で、911の前年にサンディエゴに住んでいたファハド・アル・スマイリーがサウジアラビアの実行犯たちを支援したことが疑われている。調査報告書は、サウジアラビアがイスラム原理主義の普及を支援し、またサウジアラビアの王族がアルカイダに資金を与えた慈善グループと関係をもっていたことを批判した。また報告書によれば、911の実行犯たちはサウジアラビア政府と関係をもつ個人から支援や援助を受けていた。これらの個人のうち少なくとも2人はサウジアラビアの情報機関の関係者たちだった。(415頁)また、サウジアラビアの情報機関員であるオサマ・バッスマンは、実行犯たちに資金を提供していたが、彼の妻はサウジアラビアのハイファ・ビント・スルタン王女から金銭を得ていた。「28頁」が公開されると、サウジアラビアのアーデル・アル・ジュベイル外相は、ワシントンのサウジアラビア大使館で、サウジ王族の関与を根拠がないと否定したが、報告書がサウジアラビア政府の過激派に対する支援について疑惑を深めたことは間違いない。(109~110頁)

映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」
https://eiga.com/movie/94658/


 映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」(ケヴィン・マクドナルド監督、ジョディ・フォスター主演:2021年10月29日公開)は、グアンタナモ基地に14年間収容されていたモーリタニア人のモハメドゥ・ウルド・サラーヒー(サラヒ)の実話に基づいた作品だ。サラヒはグアンタナモの警備兵から拷問を受け、レイプされて自分がテロリストであると虚偽の自白をしてしまう。こうした事実が次から次へと明らかになるにつれ、911とその後の「対テロ戦争」はアメリカの政治社会の闇の深さを映し出している。
アイキャッチ画像は911テロ
https://hachi8-news.hatenablog.jp/entry/911-terrorism-choice-people/?fbclid=IwAR3JZ_xGmQaIrs9fmzJLPYge4G7lAa9VqGZ1CotOh_AsUjvztqhAyIUWqdY

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