日本の被爆体験から核廃絶を訴えたトルコの詩人

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 イランの核エネルギー開発には厳しい姿勢を見せた米国だが、米国のオバマ政権は核兵器の装備を一新する計画をもち、その中には核弾頭、ミサイル、戦闘機、潜水艦が含まれ、10年間のうちに3、480億ドル(42兆4500億円ほど)が費やされることになっていた。トランプ政権はこのオバマ政権の核兵器に関する方針をほぼ引き継いだが、バイデン政権も同様だろう。

 核兵器は、実際の「脅威」に対応することはなく、イラクやシリアの「イスラム国」にも用いられることはなく、国際社会の新たな脅威であるサイバー攻撃に有効であることはもちろんない。さらに、クリミア半島併合などロシアによるウクライナへの軍事的進出にも核兵器の使用は想定されなかった。しかし、ウクライナにロシア軍を侵攻させたプーチン大統領は核使用をほのめかす発言をしている。
 核兵器に役割があるとすれば抑止効果しかないと信じたいが、米国は抑止にはまったく不要なほどの核兵器を一新しようとしている。核抑止の発想は、かつてのパキスタンのように、核を保有していない国々に核兵器保有への関心をもたせることにもなる。冷戦時代の発想のように、米国が新型の核兵器を開発すれば、それに倣う国も出てくる可能性があり、世界の安全保障を損なうことになる。
 2004年ノーベル平和賞受賞者でケニア共和国環境副大臣のマータイさんの言葉を集めた『もったいない』(マガジンハウス)には、「発展途上国の子供たちに、最低限の生活を保障するためのお金は、年間約800億ドルです。一方、世界中の政府が軍事費として使うお金はその16倍にもなります。『もったいない』の究極がここにあります。」とある。米国による新たな核兵器の開発はまさに「もったいない」だが、今年は広島・長崎に原爆が投下されて70年、中東イスラム世界では原爆投下に関して日本に対する強い同情がある。
 日本への2度にわたる原爆投下と第5福竜丸の放射能汚染について、トルコの詩人ナーズム・ヒクメット(Nâzım Hikmet, 1901~1963年)は下のような二つの詩をつくった。

「遊び回る」という表現がすごい・・・
https://yumimi61.exblog.jp/19081616/?fbclid=IwAR2hYc9kJPn_c4YuEY5Y3Crc2j2Zrl-Mscl2wWgU6XSvfDmG1SpBeoH2HZw


「死んだ女の子(中本信幸訳)」


あけてちょうだい たたくのはあたし
あっちの戸 こっちの戸 あたしはたたくの
こわがらないで 見えないあたしを
だれにも見えない死んだ女の子を
あたしは死んだの あのヒロシマで
あのヒロシマで 夏の朝に
あのときも七つ いまでも七つ
死んだ子はけっしておおきくならないの
炎がのんだの あたしの髪の毛を
あたしの両手を あたしのひとみを
あたりのからだはひとつつかみの灰
冷たい風にさらわれていった灰
あなたにお願い だけどあたしは
パンもお米もなにもいらないの
あまいあめ玉もしゃぶれないの
紙きれみたいにもえたあたしは
戸をたたくのはあたしあたし
平和な世界にどうかしてちょうだい
炎が子どもを焼かないように
あまいあめ玉がしゃぶれるように
炎が子どもを焼かないように
http://j-lyric.net/artist/a00328b/l01083e.html

http://blog.livedoor.jp/toei23/archives/5183274.html


「日本の漁夫」


大洋のうえで 雲に殺された
日本の漁夫は 若ものだった
かれの仲間がわたしに歌ってくれた
ある日ぐれ太平洋で出会った物語を
獲ったこの魚をたべるものは死に
わしらの手にさわるものは滅びる
見よ わしらの船は長く黒いひつぎ
この船に乗るものは命をうしなう
獲ったこの魚をたべるものは死ぬ
すぐにではなく徐々に蝕まれて
肉はくさり くずれおちる
獲ったこの魚をたべるものは死ぬ
わしらの手にさわるものは滅びる
太陽と砂にまみれた わしらの塩辛い手
仕事に疲れを知らぬ わしらのまめやかな手
わしらの手にさわるものは滅びる
すぐにではなく徐々に蝕まれて
肉はくさり くずれおちる
わしらの手にさわるものは滅びる
切れながの眼をした妻よ わしを忘れねばならぬ
見よ わしらの船を 黒い冷えきったひつぎを
この船に乗るものは命をうしなう
わしらのまうえに 雲がすべりおちたのだ
切れながの眼をした妻よ わしを忘れねばならぬ
妻よ わしを抱いてはならぬ
死がわたしからおまえへ乗り移るから
切れながの眼をした妻よ わしを忘れねばならぬ
見よ わしらの船を 黒いつめたい柩を
切れながの眼をした妻よ わしを忘れねばならぬ
おまえがわしから生む子どもは
くさった卵よりも早く潰えよう
黒い柩のようなわしらの船はわしらを運び
この海は死の海だ
ひとびとよひとびとよ わしらはあなたらに叫ぶ!
http://blog.livedoor.jp/ygjumi/archives/cat_60287055.html
アイキャッチ画像はトルコの詩人ナーズム・ヒクメット

Nâzım Hikmet – Wikipedia

ビキニ水爆実験 [写真特集2/11] | 毎日新聞
第五福竜丸が持ち帰ったマグロ=1954年3月16日撮影
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