漫画家のやなせたかしさんは次のように語っていた。
「アメリカにはアメリカの“正義”があり、フセインにはフセインの“正義”がある。アラブにも、イスラエルにもお互いの“正義”がある。
つまりこれらの“正義”は立場によって変わる。でも困っている人、飢えている人に食べ物を差し出す行為は、立場が変わっても国が違っても『正しいこと』には変わりません。これが『絶対的な正義』なのです」

https://thetv.jp/news/detail/112840/
米国は2011年9月の同時多発テロを受けて、オサマ・ビンラディンをかくまっていると考えたアフガニスタンのタリバン政権を軍事的に崩壊させた。
しかし、そのアフガニスタンはいまだに絶望的な貧困にあえいでいる。アフガニスタンではおよそ40年に及ぶ紛争や不安定の中で、食料が不足したり、社会・経済インフラの破壊や未整備があったりするために国民が絶望的ともいえる貧困状態に置かれている。

アフガニスタンの貧困がいかに深刻であるかを示す数字を紹介しよう。
アフガニスタンでは、15歳以上の年齢の識字率は28.1%に過ぎず、あとの71.9%は基本的な読み書きができない。学校に通う子供たちも、男子は平均で8年間、女子は4年間という短さだ。
2008年の統計では5歳から14歳までの子供の少なくとも25%が児童労働に従事していたとされるが、ユニセフによれば2011年には30%に上昇した。生活の貧しさも子供たちを教育から遠ざけることになっている。
アフガニスタンの36%の人口、およそ900万人が絶対的貧困の中で生活し、総人口の半分が清潔な飲料水を口にすることができない。10万人の赤ん坊を出産するに際して460人の母親が亡くなり、また1000人の新生児のうち119人が死亡するなど、出産に際する危険度が高い。妊産婦死亡率でアフガニスタンは世界第2位、乳児死亡率では世界第3位となっている。医学的知識や訓練がある医師や医療器具が十分ならば、このように高い率にはならないが、アフガニスタンでは人口1、000人に対して医師は0.12人しかいない状態だ。
Chelsea Evans, ”Poverty in Afghanistan: 5 Facts You Might Not Know,” February 16, 2015
http\://borgenproject.org/poverty-afghanistan-5-facts-might-know/ より

「積極的平和主義」を唱えても米軍の軍事行動につき合うだけならば、アフガニスタンの例からも明らかなように、「絶対的正義」を実現できそうにもない。日本は本来の意味での「積極的平和主義」の立場をとり、世界の貧困の軽減、紛争状態の改善や解決に力を尽くすべきだろう。こうした主張や配慮が「安保法制」の主張や議論の中には乏しい。 アイキャッチ画像は https://twitter.com/meigenshoten/status/856348705007513600 より
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