200年以上紛争に巻き込まれなかった平和の国=スウェーデンの武器売却の「自己矛盾」

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 スウェーデンのNATO加盟が話題になっている。

 スウェーデンは、1814年8月14日にノルウェーと和平協約を結び、その翌日から平和状態に入って以来、200年以上の長きにわたって紛争に巻き込まれてこなかった国で、第二次世界大戦でもナチス・ドイツと敵対するする姿勢をとらなかった。

ストックホルム
https://www.dreamstime.com/gamla-stan-old-part-stockholm-sunny-summer-day-sweden-aerial-view-stockholm-city-hall-stadshuset-gamla-stan-image125891910

 スウェーデン・ウプサラ大学のペーター・ヴァレンステーン教授は、「スウェーデンが戦争をしてこなかったのは、戦争が憎悪だけをつくりだすが、外交的解決はあらゆる人を利する永続する協力を創造する。スウェーデンは歴史から戦争が何の利益をもたらさないという教訓を学び、対話による解決がより現実的、実際的で、合理的であるという姿勢を身につけている」と語る。

 スウェーデン政府が発表した「持続可能な平和戦略 2017―2022」でも、武力衝突の予防、効果的な紛争解決、持続する平和構築などに関するスウェーデン政府の目標が書かれている。そのためには、和平プロセスにおける女性や青年層の参加、紛争国における人間の安全保障の充実、腐敗対策、小型武器の拡散防止、地雷やクラスター爆弾の削減などの努力目標が強調される。

 「世界最悪の人道危機」と言われる中東イエメンの内戦に関する国連仲介の和平協議が2018年12月、スウェーデンの首都ストックホルム近郊で行われた。スウェーデンは国連の枠組みの中での世界の平和構築に協力する姿勢を強く示しているが、そうしたスウェーデンの方針がストックホルム近郊での開催の背景になっていることは言うまでもない。

 国連の食糧農業機関(FAO)、国連児童基金(ユニセフ)、世界食糧計画(WFP)は同じ月、共同で声明を発表し、「世界最悪の人道危機の中、2000万人ものイエメン人が満足に食べ物を手に入れられない状況にある」「(イエメンでは)既に1590万人が空腹で目を覚ましている」と世界に向けて注意を喚起した(時事通信)国連、スウェーデンなどのイエメン和平への取り組みが一日も早く実を結ぶことを期待したい。

スウェーデン製兵器・自走砲
https://www.defencetalk.com/swedish-weapons-exports-fall-46907/

 戦争とは2世紀余り無縁で、平和への方途を説くスウェーデンだが、イエメンを空爆するサウジアラビアに武器移転を行うことはやはり矛盾している。2017年は、総額8700万円ぐらいの兵器をサウジアラビアに売却した。平和への理念をより高邁に、矛盾のないものにするにはサウジアラビアも含めて武器輸出は停止すべきだろう。

アイキャッチ画像はイングリッド・バーグマン
https://www.denofgeek.com/movies/ingrid-bergman-the-transcendental-movie-star/

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