欲しがりません勝つまでは

日本語記事
スポンサーリンク
Translation / 翻訳

 2019年6月に亡くなった作家の田辺聖子さんは源氏物語の現代語訳『新源氏物語』でも有名だが、源氏物語に関する文化の紹介は2018年6月にイランでも行われ、書道、茶道、平安装束の着付けなどのデモンストレーションが行われ、会場は入りきれないほどいっぱいになったという。(在イラン日本大使館の紹介)

平安装束の着付けデモンストレーション
イラン・テヘラン
2018年6月
https://www.ir.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/00_000338.html


 田辺聖子さんの代表作ともいえる『欲しがりません勝つまでは』には次のようなくだりがある。

アマゾンより


「でも、ラジオや新聞の大本営発表では、
『その任務を終了せしにより一月下旬、陣地を撤し他に転進せしめられたり』
となっている。
『退却、いうこっちゃなあ』
と父が説明してくれるのを聞いて弟のノボルは、
『おかしいな。日本軍が退却するはずないやん』
と怒っていた。
『軍の作戦や思うな、僕は』
『何いうてんねん、退却いうたら国民に格好わるいさかい、うまいこと転進いうてごまかしてはるねがな。軍人は見栄っぱりやさかい』
と、母はわりに言いたいこといいの、ズケズケなので、容赦せずにいう。
『そんなこと、あれへんよ!皇軍はウソついたり、せえへん』
と弟はまっかになって怒って、自分の部屋へはいってしまった。
私も、母は大好きなのだが、時々、こういう白けたことをいう所はきらいである。母、というより、オトナのきらいな点である。なぜもっと軍や大本営や、口ヒゲのいさましい軍人の東条首相を信頼しないのか。
『若いもンは純情やからなあ』
と父もいい、のんびりと耳かきなんか使っている」


 軽妙に書かれているが、今に通じるテーマやで。人生100年時代と言われていたのに、いつの間にか「95歳まで生きるには夫婦で約2千万円の金融資産の取り崩しが必要になる」ということになってしもうた。東条首相の政府の時代と変わっておらへん。

アマゾンより

アイキャッチ画像は『源氏物語 千年の謎』の真木よう子
https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA00007XJY1

日本語記事
miyataosamuをフォローする
Follow by E-mail / ブログをメールでフォロー

If you want to follow this blog, enter your e-mail address and click the Follow button.
メールアドレスを入力してフォローすることで、新着記事のお知らせを受取れるようになります。

スポンサーリンク
宮田律の中東イスラム世界と日本、国際社会

コメント

タイトルとURLをコピーしました