ハリウッド映画の男優リチャード・ギア(71歳)氏は、「私の心にはパレスチナのために特別な場所があります。現在、パレスチナ人が経験していることには想像を絶するものがあります。」とツイートしたが、それを6月13日にUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)アメリカ事務所がリツイートした。

岩のドームで
https://www.israelnationalnews.com/Art…/Article.aspx/20250
ギアのツイートは、言うまでもなく、5月のイスラエル軍のガザ攻撃で200人以上の犠牲者が出たことを受けてのものだが、200万人のパレスチナ人が住むガザ地区は2007年以来、イスラエルの経済封鎖を受け、またトランプ政権は2018年8月にUNRWAを通じたパレスチナ支援を停止した。
ギアは、映画「嘘はフィクサーのはじまり(Norman: The Moderate Rise and Tragic Fall of a New York Fixer)」(2016年)のプロモートで、2017年にイスラエルを訪れた際に、「占領はすべての人を壊している。占領はまったく擁護できない。入植は、まったく馬鹿げた挑発で、国際的感覚で言えば完全に不当だ。和平プロセスを求めるものにはなっていない。」などと語った。他方で、「あらゆる側の暴力を私は否定する。もちろん、イスラエルは安全を感じるべきであり、しかしパレスチナ人も絶望してはならない」と発言している。

https://www.pinterest.jp/pin/225109681344222862/
リチャード・ギアは、イスラエルの極右入植者たちや彼らを守るイスラエル兵の暴力にさらされ、隔離状態に置かれたヨルダン川西岸ヘブロンのパレスチナ人たちをジム・クロウ法時代の黒人と同様だと語った。ジム・クロウ法は、1870年代から1960年代まで存在した人種差別法で、人種ごとの病院、バス、電車、レストランを設けることを規定するなど差別を法体系化したものだった。
「イスラエル・ナショナル・ニュース」は「ハンサムなリチャード・ギアがユダヤ人国家に醜い顔を向けた」と報じたが、パレスチナ人の支援を訴えることが醜いことだとはまったく思わない。リチャード・ギアは公平な立場でイスラエル・パレスチナを見ていて、それを「親パレスチナの偽善」と形容するイスラエルの右派勢力のほうが異常と言わざるを得ない。

https://www.palestinechronicle.com/richard-gere-settlements-are-an-absurd-provocation/?fbclid=IwAR212y59BVUduQJzAVeCsa556JzWAIRsp782h9oQzikr5UxLzxjsqqxDosI
ハリウッドの映画産業はユダヤ人が興したものだ。例えばポーランド生まれのユダヤ人移民であったベンジャミン・ワーナーは、ボルティモアで靴の修理屋を始め、馬車で雑貨を売り歩く行商をしていたが、映写機を購入して馬車による映画の移動上映をしたことを契機に、映画会社「ワーナー・ブラザーズ」を設立するまでに至った。同様にMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)、20世紀フォックスなど主要な映画産業もユダヤ系移民によって設立された。
そのようなハリウッドの映画界でパレスチナ人に同情の声を寄せるリチャード・ギアは貴重な存在で、映画人の社会的な影響力を考えると、アメリカのセレブたちはリチャード・ギアに続いてパレスチナ人たちの窮状を案じる公正な声を上げてほしいと思う。
アイキャッチ画像は「私の心にはパレスチナのために特別な場所があります。現在、パレスチナ人が経験していることには想像を絶するものがあります。」
https://www.middleeastmonitor.com/20210615-i-have-a-special-place-in-my-heart-for-palestinians-says-hollywood-legend-richard-gere/?fbclid=IwAR1X8UIqI-X95s4_cBAc2RzSbySNF1ttHTkpaZtKt15yxzBvMaOVEzvfOlI
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