ペルシャの伝統 ―ヤルダー

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Translation / 翻訳

春の到来を詠むオマル・ハイヤームの詩

朝なり 幸運なる足の偶像よ

琴ならせ 酒を持て

十万の帝王土に帰し

ここに春の月は来たり 冬の月は去る (オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』)

シャベ・ヤルダーとは?

イランやアフガニスタン、タジキスタンなどペルシャ文化圏では「ヤルダー」、あるいは「シャベ・ヤルダー」と呼ばれる冬至を祝う行事がある。12月21日の日没からイラン暦西暦12月22日の日の出までの間だとされる。「ヤルダー」は光の誕生を意味し、「シャベ」は夜を意味する。

古代から光の復活は祝われた

ヤルダーの行事は古代から始まり、光の暗黒に対する勝利を表わし、アーリア人の光明神ミトラの誕生を祝う。家族はザクロやナッツとともにヤルダーを祝う。ヤルダーとは、誕生、生まれることを意味し、1年で最も長い夜のことをいい、邪悪や災難から人を遠ざける。冬至が過ぎれば、生命に息吹を与える太陽の出ている時間が次第に長くなることを喜ぶ。太陽は生きることの喜び、平和や友好を感じさせてくれるものと考えられた。光に希望を見出すのは紀元前1000年頃、イラン高原で成立されたとするゾロアスター教の教義も同様で、ゾロアスター教では光は善を表す。

ヤルダーを喜ぶイランの人々

クリスマスの起源も冬至に関連

 ブリタニカ国際大百科事典(英語版)の説明によれば、ローマ帝国領で活動していた著述家のセクトゥス・ユリウス・アフリカヌスが、221年に12月25日をキリストの誕生日にしたとか、またローマ帝国で当時の後の太陽の復活日として広く祝われていた「dies natalis solis invicti (不滅の太陽の誕生日)」をキリスト教化したことがクリスマスの起源という説もある。つまりクリスマスの起源も冬至とは無関係ではない。

イランの女優 ナーザニーン・バヤーティ

ヤルダーを境に善神がやってくる

 ゾロアスター教の「ヤルダー」は1年で最も長い夜の後の日の出を祝うが、古代ペルシャでは、邪悪な力は一年のうちで最も長く、最も暗い夜に最強となると考えられるが、人々は一晩中起きて、話に興じ、スイカやザクロを食べ、乾燥フルーツなどを食べて、太陽が昇るのを待つ。太陽が地平線からのぞくと人々は太鼓を鳴らしたり、踊ったりして喜びを表現する。最も長い夜の後の日はゾロアスター教の善神アフラ・マズダに属すと考えられる。

 ペルシャ文化圏に接する初期のキリスト教徒もペルシャのシャベ・ヤルダーを一緒に喜んだといわれている。光明の誕生は、キリストの誕生とも結びつけて考えられた。

コタツが不可欠

 このシャベ・ヤルダーには、コルスィーと呼ばれるコタツが不可欠で、コルスィーに座りながら、イランの人々はハーフェズやルーミーの詩を読んだり、家族で話の花を咲かせたりする。ザクロは冬に花を咲かせるので、生命と回復力のシンボルであり、夏に食べるスイカを口にすることで、体を健康にし、またカボチャやひまわりの種は生命のサイクルを表す。

コタツに入るイランの人々

ヤルダーを詠むハーフェズの詩

望みとは悲しみを取りさる事。

心が赴くところに

悪魔が去ったその後を

天使が満たしてくれるだろう。

賢をふりかざす者はシャベヤルダーの闇

だが、それもつかの間、

光は太陽とともにやってくる。

恋する小鳥よ、生き長らよ、

やがて庭は緑に

赤い薔薇が咲き乱れるまで。

―ハーフェズ

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