狭量なナショナリズムを克服する環境問題への取り組みを教えた日本の先人たち ―吉松喜三大佐と中村哲医師―環境問題の改善によって平和を

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Translation / 翻訳

 戦争は農地や森林を破壊し、人や動植物の生命を奪う。地球温暖化の干ばつによって農地が世界的規模で減少し、減少した農地を争奪してまた戦争が起こる。日本人の中では戦争が最大の環境破壊や環境悪化をもたらすことを認識・理解して環境の改善のための事業を世界に先駆けて行った先人たちがいた。


 中国戦線で戦った日本陸軍の吉松喜三大佐(1915~1985年)は、中国の砂と黄土の大地を戦争がさらに破壊することに心を痛め、緑の植樹をすることで日本軍と中国軍の兵士たち、また中国住民の心に安らぎを与えることを考え、戦時中に中国のモンゴルに近い包頭(ほうとう)などでポプラの苗木1万本の植樹を行い、「興亜植樹公園」の植樹を行った。緑のポプラの樹々一本一本がすくっと立ち上がるように育つ様子は戦争で亡くなった日中の兵士たちや中国市民に対する力強い将来の平和への誓いとも映ったことだろう。

日中戦争中に日華親善を考えた日本の軍人がいたとは・・・
https://www.heiwakinen.go.jp/…/onketsu/06/O_06_293_1.pdf


 日本軍が通過したところが不毛の地になるというのは決して名誉なことではないと吉松大佐は考えた。殺伐とした戦争という環境の中で、多くの人に喜ばれるのには植樹が極めて適切なものと思うようになった。戦争による破壊と緑の植樹はまさに対極にあるが、戦争が終わると、吉松氏は中国共産党から感謝状をもらい、日本に無事帰国できるようにと通行証まで吉松隊には用意された。

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 植樹公園の名前に「興亜」と付けたり、中国人が喜ぶ植樹を行ったりした吉松氏は日本軍に属しながら狭いナショナリズムの視野が希薄だった。環境の改善は日本のためにだけに行う作業ではないことを吉松氏は後世の人々に示した。今を生きる私たち日本人は、狭量なナショナリズムを超えて近隣をはじめ諸外国との宥和を考える上で、喫緊の課題である地球環境問題に協力して注意を向け、改善のための協調的な努力を行うことこそ求められている。防衛費GDP比2%の増額云々を検討するよりももっと先に安全保障のためにしなければならないことがあるはずだ


 中村哲医師が活動していたアフガニスタンは「民族の博物館」とも形容されるほど実に多様な民族が住んでいる。1990年代の内戦は民族の断層線に基づく戦いでもあった。国際交流基金のプロジェクトのメンバーとしてアフガニスタンの和平を考えた時、スポーツでは民族の代表ではなく、アフガニスタン人代表という意識をもたせるナショナル・チームをつくることこそが大事だという提言を行ったことがある。


 そのような民族的環境の中で用水路を造成して人々に食や職を与えようとした中村医師の事業は各民族の宥和にも役立ったに違いない。中村医師の言葉を借りれば「きちんとした生活していける環境を整えることこそが、真の安全保障につながる。」(「西日本新聞」2015年9月19日」ことこそがアフガニスタン国内の対立を乗り越えるすべでもあった。


 2001年10月に国会特別委員会で参考人として中村医師は「対テロ戦争」よりも重要なのは、被災者1200万人以上、400万人が飢餓線上にある大干ばつであることを強調した。カナート、カレーズと呼ばれる伝統的な地下水路を復活させて、また医療でもカブールに診療所を開設した。日本では難民にどう対応するかという議論が国会をはじめ活発だけれども難民を出さない努力こそが求められていることを中村医師は強調した。


 暴力を力で抑え込むことに日本が加担すれば中村医師たち日本人の救援・支援活動も困難になると主張した。日本に対する絶大な信頼は自衛隊の派遣によってもろくも崩れるのではないかというのが中村医師の懸念だった。米軍の活動に何が何でも協力しなければならないという一部の政治家たちの観念的な議論に中村医師は強い疑問を抱いていた。自衛隊を派遣すれば、アフガニスタン人全体の排外的なナショナリズムによって日本人も猛烈に反発されるということが中村医師にはよくわかっていた。それよりも日本人が現地の人の中に溶け込み難民を出さないための事業を行い、現地の狭い民族、部族ナショナリズムを超越することを考えるとともに、日本人が現地の人々の信頼を得ることこそが支援活動の成果を得るために何よりも求められると中村医師は考えていた。

木村文乃
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アイキャッチ画像は https://www.excite.co.jp/news/article/Rooftop_50292/ より

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