世界的な課題への取り組みは米国に追随するだけでは不十分

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 共同通信の記事によれば、中国人民解放軍系のシンクタンク「中国国際戦略学会」の軍幹部が2015年5月5日、自民党の高村正彦副総裁ら超党派訪中団に「米中の新たな形の大国関係の中で、米国の後だけについていくのなら日本に未来はない」と述べていたという。


 ドイツのメルケル首相は、同月10日、モスクワを訪問し、クレムリン近くの無名戦士の墓に献花を行い、「どんなに困難でも話し合いで解決する必要があるというのが、歴史の教訓だ」と述べた。ウクライナ問題で孤立するロシアと対話しないのでは、当然のことながら外交的解決の道が閉ざされることになる。http://digital.asahi.com/articles/DA3S11746851.html


 15年5月11日、衆議院議員会館で「世界連邦日本国会委員会」で自称「イスラム国」の活動が台頭する背景などを中心に超党派の議員たちに話をした。


 「世界連邦」の目的は、そのホームページによれば、「いっそう深刻になる軍縮・核廃絶・民族紛争・地域紛争などの軍事的問題、地球の温暖化・オゾン層の破壊・森林資源枯渇などの環境問題、人口爆発、食糧問題に国境を超えた地球レベルで取り組む」というものだ。
http://wfmjapan.org/002/index.html


 その主旨にはまったく異論はない。国会議員たちはもっとこれらの地球規模の問題にもっと思いを寄せてほしい。今日もインドネシアやマレーシアにミャンマーのロヒンギャの難民たちがボートで多数たどり着いたというニュースがあった。残念ながら国会議員が世界的な「人間の安全保障」に関わる問題についてコメントしたり、行動したりしたというニュースに接する機会は少ない。

ロヒンギャ難民たち ロヒンギャ難民はなぜ生まれた?彼らの現状や必要な支援とは (gooddo.jp)


 「集団的自衛権」の問題も、「周辺事態」の問題を声高に叫ぶならば、軍事よりも外交をまず優先すべきで、地球の裏側まで「後方支援」を行うというのは自衛隊員にとっても迷惑な話だとある防衛大学校の教員も語っていた。国会議員たちは「流れ」に乗るではなく、日本国民の将来にかかわる重大な問題として十分に考え、議論を尽くしてほしい。


 米国だけに追従する外交は、中国だけでなく、中東イスラム諸国からも肯定的に決して見られないだろう。イスラム世界で反米感情が定着するようになったのは第二次世界大戦以降のことで、米国のイスラエルを偏って支援する政策、イラク戦争のように市民の犠牲を生む軍事介入などによって、自称「イスラム国」のような過激派は「反米」で求心力を高めようとしている。


 日本も決して油断はできない。米国と一体となる外交はイスラム世界にあり続けた良好な対日感情をいっきに曇らし、日本に対するネガティブな感情を定着させかねない。日本外交にとって今はまさに「正念場」だと思っている。
アイキャッチ画像は張 天愛(チャン・ティエンアイ)
https://www.pinterest.jp/pin/617485798890994654/?nic_v1=1a5C%2FO91lE%2BGTFpZvwZxivnvDlwSbQIB4gDHV9dk%2BlrzJdjOhjtyXPoq50B2QReep0&fbclid=IwAR0repqN5zwPBh9HBV_h7hsc1ODnsP2zt1IyQe0obb3yR36r8QRz3MlDe7A

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宮田律の中東イスラム世界と日本、国際社会

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