ユニタール(UNITAR/国連訓練調査研究所)広島事務所初代所長のナスリーン・アジミ氏がInformed Commentに “With Nukes Back as a Global Danger, Time to Remember Hiroshima”(世界の脅威として核兵器が戻るいま、広島を思い出す時)という論稿を寄せたが、その中で広島市中区の西向寺の「いのちに国境なく 民族に異同なし 全ての犠牲者に 合掌」というポスターの写真を掲載している。西向寺に尋ねると、これは本願寺派の「法語ポスター」というもので、原爆の日に合わせて掲示したということだった。

http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=14265
アジミさんの論稿は、米国トランプ政権のイラン核合意から離脱、武器管理レジームの崩壊など現在の危機に触れながら、世界の核兵器の0.03%をもつインドとパキスタンが核戦争を始めただけで環境破壊も伴ってインド亜大陸と中国の20億人の人々を飢餓の下に置く可能性があると述べられている。核による人類の絶滅を救うのは広島と長崎の市民だけでなく、世界全体の人々が危急の使命として核廃絶の問題に立ち上がっていかなければならないと訴えられている。
アジミ氏はイラン出身だが、2014年にユニタールがアフガニスタンからの研修生を受け入れるに際して、「原爆資料館の見学後や被爆者の証言を聴いた後で、彼ら(アフガニスタン人)がよく口にする言葉がある。『もし広島が復興できたのなら、アフガニスタンだってできる』と。憎しみよりも復興を優先し、『許しても忘れない』という広島市民の努力と精神は、過去の憎しみに長くとらわれた国にとって、計り知れない意味を有しているのである。」と語っている。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=30788
安保法制の議論が進む中で広島県の真宗の門徒たちは、「非戦平和を願う真宗門徒の会」を2015年夏に結成したが、兵も武器も一切用いないことを説いた仏説無量寿経の「兵戈無用(ひょうがむよう)」、慈悲の心をもって殺生しないことを教える仏説観無量寿経の「慈心不殺(じしんふせつ)」 の精神から安保法制に反対した。
2015年に安保関連法が成立すると、里雄康意・真宗大谷派(東本願寺)宗務総長は、「私たちは仏の教えに基づく教団として、このたびの安全保障関連法の撤廃を求めるとともに、今後も引き続き、戦争に繋がるあらゆる行為を未然に防ぐ努力を惜しみません。そして、武力に頼るのではなく、積極的な「対話」によって「真の平和」を希求することをここに表明いたします。」と述べた。
http://www.higashihonganji.or.jp/news/declaration/12726/

https://www.higashihonganji.or.jp/
武力や殺生ではなく、対話で国際問題の解決を求めることに国境も民族もない。「慈悲」や「不殺生」はイスラムでもキリスト教でも説かれるが、日本の伝統的な精神も現代の世界が抱えるもろもろの問題にヒントや解を与えるものであることは間違いない。
アイキャッチ画像はhttps://www.juancole.com/…/danger-remember-hiroshima.html より

「きょうとシティグラフ」
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