昨年9月20日付の朝日新聞に「『百万本のバラ』ロシア国民的歌手が反戦宣言 戦争反対の夫に連帯」という記事が載った。「百万本のバラ」をヒットさせたロシアの人気歌手のアーラ・プガチョワさん(73)の「反戦宣言」をしたというものだ。夫でタレントのマクシム・ガルキンさん(46)が敵のスパイを意味する「外国の代理人」に指定されたことに反発して自分も「外国の代理人」に加えることを望むとインスタグラムに投稿した。ガルキンさんは2月にロシア軍がウクライナに侵攻するとSNSを通じて反戦の訴えを行ってきた。

2011年3月の東日本大震災では1万5900人の死者が出たが、戦争は国際社会が追悼や同情の声を寄せてくれた東日本大震災のような破壊や人災を人間が行うもので実に愚かしいという形容しかない。ロシアのウクライナ侵攻も、その破壊や殺戮の大義や理由をプーチン大統領のような政治家は説明できないことだろう。

同感です
https://www.youtube.com/watch?v=i8XAik7J-ig
プーチン大統領は昨年9月16日、上海協力機構の会議で訪れていたウズベキスタンで「一貫して、ロシア軍は新たな領土を獲得していく」と発言した。国連憲章第2条4項は国の領土保全又は政治的独立に対する武力による威嚇又は武力の行使を禁止している。ロシアは国連安全保障理事会常任理事国で、国連による世界秩序を守る責任を負っている。プーチン大統領の発言はロシア軍のウクライナ侵攻が国際法に違反する戦争犯罪であることを自ら認めたことになる。
「百万本のバラ」はロシア語の歌詞が付けられているが、元々はバルト三国の国ラトビアで生まれた歌だった。後に「百万本のバラ」となるラトビアの原曲「マーラが与えた人生」は、1981年にのちに文化大臣になるライモンド・パウルスが作曲し、詩人のレオン・ブリディスが詩をつけた。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm26540492
「子供のころ泣かされると 母に寄り添ってなぐさめてもらった そんなとき母は笑みを浮かべてささやいた マーラは娘に生を与えたけど幸せはあげ忘れた」という歌詞の一節があるが、「幸せはあげ忘れた」という部分はソ連支配に翻弄される小国ラトビアの運命を表すものだった。歌は人々の自由への希求への追い風となり、人々の心を一つにして、ラトビアはソ連支配の桎梏からやがて脱することになった。
イラン南部のシーラーズに生まれたサーディー(1210頃~92年頃)は教訓文学と恋愛抒情詩の巨匠として知られるが、その『薔薇園』(東洋文庫12)には、不正な侵略を行うプーチン大統領が知るべき教訓が書かれている。
「ある不正な王者が修行者に問うた。『いかような信心が最もすぐれたものか?』と。答えて曰く、『汝のためには午睡こそ望ましきところ。しばしの間でも人民を虐げないことになろうから!』と。」(第1章 物語12)
また、実践道徳を強調する『薔薇園(ゴレスターン)』に下のような韻文があり、か弱き者、貧者、不遇なる者への救済、正義を尊ぶことを説く。これもロシアの指導者には知ってほしいところだ。
強き腕と指先の力もて
か弱き貧者の掌をくじくは罪なり。
不運なる者を赦さずして、はばからざれば
足を踏み外すとも彼の手を取る者なからん。
悪しき種子をまき手良き望みを抱くは
愚かなる頭脳をしぼり、空想を描くものなり。
汝の耳より綿を取り出し、人々に正義を施せ
汝もし正義を与えざればむくい受くる日ありなん。
(沢 英三 訳 岩波文庫「ゴレスターン」)

リガ
https://www.hankyu-travel.com/guide/baltic/riga.php
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