アメリカ社会ではイスラエルの占領の不当性に対する認識が次第に深まり、イスラエルへのBDS(ボイコット、投資撤収、制裁)運動が広がりつつある。それがイスラエルによる入植地拡大の停止、占領の放棄、パレスチナ国家創設、パレスチナとの共存の実現、パレスチナ人の人権の回復につながればと思う。これらは世界の多くの人が望むところだ。

https://www.dw.com/en/german-parliament-condemns-anti-semitic-bds-movement/a-48779516?fbclid=IwAR2erm9-hWWOYMqcNexaW5A77UAiUSc-qDCRwklpHy0qdcjPFuGAi-96nBw
イスラエルのアカデミック・文化ボイコットは特に北米で発展・進化するようになった。北米で最大の中東を研究する団体である「北米中東学会(Middle East Studies Association of North America: MESA)は、1月31日から3月22日の期間にイスラエルへのBDS運動への支持を問う投票を行い、768:167と圧倒的多数の賛成票で、つまり80%の会員が支持することで、3月23日にMESAが団体としてBDS運動を支持することを決定したと表明した。このMESAの決定したところは大きい。たいていのアメリカやカナダの中東研究者はMESAに所属するからだ。私も学生時代に会員となったが、イスラエル最大の後ろ盾のアメリカ政府は国内最大の中東学会からの圧力を感じていることだろう。
投票結果を受けてMESAのイーヴ・トラウト・パウエル会長もMESAが教育やその他の人権違反を経験しているパレスチナの研究者や学生たちからの呼びかけに応じることになったと述べた。これでイスラエルの研究機関はMESAの大会などに参加することが不可能になり、イスラエルの研究者たちもイスラエル政府の方針の不当性やパレスチナ人研究者の学の自由や独立をあらためて認識することになったに違いない。

ロンドンで
https://www.middleeasteye.net/fr/node/152446
アメリカのロックバンドのビッグ・シーフ(Big Thief)がイスラエル・テルアビブで昨年7月6日と、7日に予定されていた2回の公演をキャンセルした。バンドは声明を発表し、イスラエルによるパレスチナへの不当な占領、パレスチナ人に対する弾圧に反対し、パレスチナ人の完全な自由と民族自決を支持すると述べた。
当初、ビッグ・シーフはテルアビブがベース担当のマックス・オリアチクの故郷であることを理由にコンサート開催の正当性を主張し、公演の収益をパレスチナ人の子供たちの医療や人道支援に用いるとしていた。

コロナで微妙だったと思いますが・・・
https://www.indienative.com/2019/10/big-thief-2020
しかし、パレスチナ人の中にはイスラエルの占領によって故地に帰省がかなわない人々がいるなどの批判がビッグ・シーフに寄せられた。バンドは中止を表明した声明後に当初の声明がナイーブであり、イスラエルへのBDS(ボイコット、投資撤収、制裁)運動の文化的側面を理解せず、イスラエルの占領に触れることがなかったことを認めた。
ビッグ・シーフのキャンセルは「イスラエルに対するアカデミック・文化ボイコットのパレスチナ・キャンペーンThe Palestinian Campaign for the Academic and Cultural Boycott of Israel (PACBI)」などの団体によって歓迎された。PACBIは、ビッグ・シーフの勇気と抑圧されたものの声を聴こうとする姿勢を評価すると述べた。ビッグ・シーフの公演のキャンセルはBDS運動が一歩前進したことを示すものだった。
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