ウクライナ東部のマリウポリでロシアは守備するウクライナ軍に投降を呼びかけたが、ウクライナ軍はこれを拒否して徹底抗戦する姿勢を見せている。マリウポリでの戦いは、スペイン内戦でファシスト勢力やドイツやイタリアのファシズム国家の攻撃にさらされながらも持ちこたえたマドリードの攻防を彷彿させる。現にマリウポリの守備隊の中にはイラクやシリアでＩＳと戦った国際義勇兵もいて、「ロシアのファシズムと戦う」と訴えている。現在はスペイン内戦が戦われた１９３０年代後半にあたかもタイムスリップしたかのようだ。
マドリード！ マドリード！
なんとその名が気持ちよく響くことか
すべてのスペイン人の防波堤よ
大地はひび割れ 天はとどろく
きみは微笑む 鉛の弾を撃ち込まれながら
－ラファエル・アルベルティ「マドリード防衛の歌」
ラファエル・アルベルティ（１９０２～９９年）はスペイン・カディス出身の詩人・劇作家でアンダルシア州の伝統的な民衆の歌と、ヨーロッパの前衛的な詩法を結びつけ、ロルカらとともに共通の美的感覚や哲学をもつ「２７年世代」の文学者の一人で、またスペイン人民戦線の闘士でもあった。
１９３６年１０月、ファシストのフランコ軍は圧倒的な兵力をもって首都マドリードに迫り、またドイツ、イタリアはマドリードに対する空爆を繰り返したが、マドリードの人民戦線は予想を覆してよく持ちこたえた。人民戦線に加勢したのは、フランス人、ドイツ、イタリア、アメリカ、イギリスなどからの義勇兵たちだった。アルベルティは彼らへの感謝から「国際旅団讃歌」という詩をつくっている。
君たちは遙か遠くからやってきた。
国境を越えて歌う君たちの血には、距離などは問題ではない。
不可避な死は、いつの日か君たちの名を呼ぶだろう。、
どこで、どの町で、どの戦場でかは、誰にも分りはしない。
この国から、あの国から、大きな国から、
地図に名を留めるだけの小さな国から、
同じ理想を共有しながら、
名も知らず、ただ語り合いながら君たちはやってきた
現在、シリアやイラクでクルド人のＹＰＧ（クルド人民防衛隊）とともに、ＩＳと戦っていた欧米の義勇兵たちがウクライナでも戦うようになったが、同じ政治的自由のために戦うのでも欧米政府の姿勢が中東とウクライナでは明らかに異なることを感じているようだ。
プーチン大統領に協力してウクライナ軍と戦うチェチェンのカディロフ首長のようなムスリムもいるが、チェチェンの分離独立を目指すチェチェン人ムスリムの武装集団はウクライナ東部でロシア軍と戦っている。どのくらいの兵員がいるのか明らかではないが、チェチェン人の武装組織「ゾッハール・ドゥダエフ軍団」「シェイフ・マンスール軍団」は、キリスト教国家ウクライナでの戦いがチェチェン紛争の継続と考えていて、その兵員の多くは、ロシアとの戦いでチェチェンを離れたか、カディロフ首長の抑圧政治を逃れた人々だ。チェチェンからの義勇兵たちはチェチェンでは成し遂げることができなかったロシア軍に対する勝利をウクライナで達成したい想いでいる。
正義は、イスラムでもキリスト教でも重要な宗教的命題だ。昨日はキリスト教のイースターだったが、イースターは、人間世界の不正義のために死んだキリストを復活させることで、神は自らの正義をこの地に実現することを望んだとされる。
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プーチン大統領のロシアは他国の主権を踏みにじって侵攻を行い、市民を殺戮している。ロシアへの抵抗が宗教を超えた性格をもっていたとしても不思議ではない。
あたらしき年、ふるき願をかへし、
つつましき心、いま、孤独（ひとり）にかへる
木の枝にモーゼの白き手の見ゆる、
そのあたり、大地よりイエスも息づく －オマル・ハイヤーム「ルバイヤート」（竹友藻風訳）
アイキャッチ画像は下より
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