人類の普遍的愛を説くスーフィ詩人ルーミー

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Translation / 翻訳

「ただひとつの息がある」
わたしはキリスト教徒ではない
ユダヤ教徒ではない
いいえ イスラム教徒でもない
わたしはヒンズー教徒ではない
スーフィーではない 禅の修行者ではない
いいえ どんな宗教にもどんな文化にも属していない
東から来たのではない 西から来たものではない
海や大地から生まれたものではない 天界から来たものではない
何かの要素からできているものでもない
この世やあの世に存在するものではない
アダムとイブのような太古の物語と関係はない
いいえ わたしは何者でもない
居場所は定まらない
跡を残すことはない
いいえ わたしは身体でもない魂でもない
わたしは
愛している
あの人のなかにいます
ふたつにみえて世界はひとつ
そのはじまりもその終りもその外側もその内側もただひとつにつながる
そのひとつの息が人間に息(いのち)を吹き込んでいます
(エハン・デラヴィ・西元啓子 (編集), 愛知ソニア (翻訳)『スーフィーの賢者ルーミー―その友に出会う旅』より)

スーフィ
http://pin.it/Lqr04tI


 この詩に見られるように、ルーミーが説く普遍性は、個々の民族や宗教に限定されず、それらの相違や多様性を超えて広く人類に共通するものという意味であり、諸宗教はその本源に目覚めれば,その多様性にもかかわらず共通の地盤に立って理解し合えるということをこの詩は訴えている。宗教や宗派、民族によって争いや衝突が続く現代の国際社会に重たいメッセージをルーミーは伝えている。


 ペルシアの詩人ルーミー(1207年~1273年)は、現在のアフガニスタンのバルフで生まれた。イランでは、モウラーナー、モウラヴィーと呼ばれる。ペルシア文学史上最大の神秘主義詩人と言われている。モンゴル勢力による戦火を避けるため、家族は何年にも渡る放浪生活の末、最終的にアナトリアのコンヤ(現在のトルコ)に住み着いた。名前のルーミーはアナトリアの「ルーム」にちなむ。イスラム世界では、「ルーム」とはビザンツ帝国のギリシア人、ギリシア正教徒、あるいはビザンツ帝国、さらにはその領域の呼称として用いられた。

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