中東から日本に届いたラブレター ~東日本大震災から12年

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Translation / 翻訳

 今日で東日本大震災が発生してから12年が経った。2011年は中東諸国では「アラブの春」という大動乱があり、震災と同じ日の3月11日には、サウジアラビアが主導してバーレーンに軍事介入を行い、バーレーンの民主化要求運動の壊滅に乗り出した日でもあった。「NHKワールド・ラジオ日本」編集の『日本へのラブレター ~世界から届いた5000通のメッセージ』(あさ出版、2016年)にはそんな多難な時期を迎えていた中東諸国から「NHKワールド・ラジオ日本」に寄せられた中東からのメッセージも紹介されている。


「愛する日本での出来事を聴いてから、私は笑えなくなりました。 勉強が手につかず、毎日寝る前に泣いています」


「エジプトから地震で亡くなった方、大事な人を失った方すべてに、お悔やみの気持ちを送ります。」などのメッセージが寄せられた。


 イラクの小学校教師のサリームさんはラジオ日本の20年にわたって番組を聴いていて、被災地の学校が再開されたということを子供たちに伝えると、「今日、ニュースで被災地の学校が再開したと聴きました。以前「被災地の子供たちは学校に行けているのか』と尋ねてきた生徒がいたので、すぐに伝えました。それを聞いた子どもたちは大喜びしました。そして、勉強に熱が入るようになったんですよ」とメッセージを送ってきた。サリームさんの学校は、2003年のイラク戦争の際に、米軍の空爆で校舎の一部が破壊されて青空学級を行ったこともあるという。

『日本へのラブレター ~世界から届いた5000通のメッセージ』(あさ出版、2016年)より


 日本イスラム文化センターの事務局長を務めるクレイシ・ハールーン氏は東日本大震災の際に被災者に対して炊き出しなど救援活動を行うのはイスラムという宗教からすれば「当たり前」で、それこそが「本当のジハード(宗教的な努力)」であると語った。(日経BPの記事より)


 イスラム世界に行って日本が評価されるのは、軍事力にモノを言わせるアメリカの戦争に協力することではなくて、教育・医療など彼らの社会福利に貢献する姿である。困った者に対する同情や共感はイスラムという宗教の中の根本とも言ってよいだろう。「汝、孤児を苦しめるな」(93章9節)「乞う者を叱りつけてはならない」(同10節)「(神の審判を信じない者は)孤児を排斥し、貧者に食事を与えることを奨励しない者」(107章1~3節)「慈善を断る者」(同7節)などの章句がコーランにはある。

『日本へのラブレター ~世界から届いた5000通のメッセージ』(あさ出版、2016年)より


 「情けは人のためならず」とは、「人に情けをかけるのは、その人のためになるばかりでなく、やがてはめぐりめぐって自分に返ってくる。人には親切にせよという教え。」という意味だが、(「故事ことわざ辞典」)まさに日本と中東の「情けは人のためならず」である。

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宮田律の中東イスラム世界と日本、国際社会

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