「力ある人とは知識を持つ人だ。知識の光は老人の心さえ明るくする」(イランの詩人フェルドゥースィー)
中国共産党大会で習近平国家主席に権力がより集中することになり、「中華民族の偉大な復興を」と唱えられた。アメリカのトランプ大統領が「アメリカを再び偉大に」、日本の安倍元首相が「強い日本を取り戻す」と訴える。世界のあちこちでそんな国ばかり現れたら地球は居心地が悪くなるだろう。作家のなだいなださんが「賢い国になろう」と主張したように、為政者たちは国民が安寧に平和に暮らす知恵を磨いたらどうだろう。

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やはりペルシアの神秘主義詩人のルーミーは次のような説話を残している。 木の秘密 「王様は『その実を食べたら不死になる果物がある』という話を聞いて、大臣にその実を取ってくるように命じます。大臣はあちこち探します。最後にその実の存在を知っていると人々に言われた賢者に会い に行きますが、『そういうものは存在しない。肉体は滅びるが知恵は永遠である』と告げられます。」 http://www.kodomo.go.jp/event/exhibition/pdf/iran_2011.pdf
知恵や知識の習得はイラン詩の中で繰り返し現れるテーマだ。 「旅することは多くの利益がある。それは新鮮さを心に、素晴らしき事柄についての見聞、新しい都市を見る喜び、まだ知らない友との出会い、高潔なる作法を習得することができるのだから。」 -サーディー
750年に成立したアッバース朝では、預言者ムハンマドが622年に創ったメディナのイスラム共同体に統治の理想があったことをあらためて強調されるようになった。真の指導者は同胞を思いやるムスリムであり、専制君主ではない。メディナでは強制による支配ではなく、宗教的な真理による統治があり、平等主義が貫かれ、多くの人々が政治に参加した。アッバース朝のカリフたちは、王朝として平等主義による純粋なイスラム共同体をつくれない代わりにモスクをつくり、巡礼のための設備を整え、ギリシアやサンスクリットの古典の翻訳、天文学、医学の研究など学芸を保護するようになり、それがイスラム文明の発展に貢献し、首都バグダードを中心とする地域に経済的な安寧をももたらすことになった。

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知恵や知識を蓄積することは、ナショナリズムに訴えることの愚かしさを歴史の教訓として為政者も、また国民も学び、過去の過ちを繰り返さず、より良い政治や社会、文化を築いていくことにもなるだろう。
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