詩人宮沢賢治の有名な詩「雨にも負けず」には下のように書かれている。
「雨にも負けず、風にも負けず
(中略)
東に病気の子供あれば、行って看病してやり
西に疲れた母あれば、行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば、行って、怖がらなくてもいいと言い
北に喧嘩や訴訟があれば、つまらないからやめろと言い」
(後略:漢字などを用いて表記を変えた)

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イスラムの聖典である『コーラン(クルアーン)』の「婦人章第36節」には「アッラーに仕えなさい。何ものをもかれに併置してはならない。父母に懇切を尽くし、また近親や孤児、貧者や血縁のある隣人、血縁のない隣人、道づれの仲間や旅行者、およびあなたがたの右手が所有する者(に親切であれ)。アッラーは高慢な者、うぬぼれる者をお好みになられない。」とある。この節などは「雨にも負けず」の精神世界によく似ていることに容易に気づく。
イスラムでは子供や女性の保護を説くし、善行を積めば神の最後の審判で天国に迎えられると死に一種の安堵を与える。利他の精神は貧者を救済するというイスラムの最も基本的宗教義務である「喜捨(ザカート)」にも通じ、弱者に対する献身的精神はイスラムでも説かれる。
2000年11月に来日したイランのハタミ元大統領は日本の禅とイスラム神秘主義がともに沈黙の中から多様な示唆と寓意を読み取ること、相手の言うことに耳を傾け、相互に理解し合うのがアジア(日本とイランを含めて)の精神風土だと語った。つまり喧嘩や訴訟はつまらないとはイスラムでも強調されている。イスラムの預言者ムハンマドは彼の構築したメディナのイスラム共同体では住民間の紛争に当たっては仲裁者として調停を行い、公平な裁定を行ったとされている。
宮沢賢治は『銀河鉄道の夜』に見られるように、全人類への宗教的寛容に達していたことが垣間見られる。宗教的寛容は、キリスト教徒やユダヤ教徒を保護しなければならないとするイスラムにも共通して見られる精神だ。

劇中、高倉健の亡くなった妻を演じた田中裕子さんが歌った宮沢賢治・作詞作曲「星めぐりの歌」がとても印象に残ってい
ます。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/…/q12104075637
暴力に訴えたり、軍事力を行使したりすることは、イスラムという宗教からも正当性を得られない。慈悲や利他は、イスラム、仏教などあらゆる宗教で説かれる普遍的徳や倫理であるに違いない。
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