カナダのイランを専門とする世論調査会社IranPollが2019年8月にイラン人1000人を対象に行った調査で、日本、中国、ロシア、ドイツ、国連、フランス、イギリス、米国についてその好感度を尋ねると、日本が最も好感をもてる国という調査結果が出た。
https://cissm.umd.edu/…/Iranian%20PO%20under%20Maximum…

https://www.jiji.com/jc/d4?p=ydt316-jlp10749484&d=d4_quake
日本に好感をもつ人々は70%(「とても〔Very〕」「幾分〔Somewhat favorable〕」を合わせて)で、対照的に米国は「好感をもてない(Unfavorable)」人が86%(「とても〔Very〕」「幾分〔Somewhat favorable〕」を合わせて)にも上る。トランプ政権のイラン政策に従い、有志連合に加わったイギリスも「好感がもてない」が73%となっている。イギリスの場合はイランに帝国主義的進出を行ったという歴史的背景もあるだろう。
世論調査の結果は52%のイラン人が欧米よりもアジアとの外交的、経済的関係を強化すべきと考え、49%の人々が、ヨーロッパよりアジアを好むと回答している。日本に続くのが中国の58%だが、中国に対しては「好感がもてない」も39%で、そのうちの25%が「Very unfavorable」だ。
イラン核合意から離脱し、制裁を強化するなどトランプ大統領が就任してからイラン人の対米観が悪化していることは言うまでもない。また、ドイツやフランスというイラン核合意に留まるヨーロッパ諸国に対する好感度が下がっているのは、トランプ大統領の対イラン制裁強化を受けてこれらの国々の企業があっけなくイランから撤退したことも背景としてあるだろう。

IranPollは、日本に対する好感度が高いのは安倍首相が6月に日本の首相として41年ぶりにイランを訪問したことを理由の一つとして挙げているが、良好な対日感情は、イランに対してヨーロッパ諸国のように、イランが核合意を守らなければ、再び制裁を科すなどの政治的圧力をかけていないことも理由としてあるに違いない。また、日本が歴史的にイランに対してネガティブな関与を行うことなく信頼関係を構築できたこと、映画、ドラマ、文学、漫画、アニメなど日本のソフトパワーが良好な対日感情を築くことに貢献してきたことがあると思う。

https://twitter.com/tedxkyoto_ja/status/816125913163296768
日本は、1992年に発生したイラン南東部(バム)大地震の際、血液を空輸しイランを援助し、また5年前の東日本大震災の際に、イランの赤新月社(せきしんげっしゃ)が宮城県にイラン製の缶詰めを提供するなど相互に災害支援を行っている。
イラン人の良好な対日感情は、決して油断できるものではない。対米感情は、第二次世界大戦後にいっきに曇ってしまった。イランに関して米国に軍事的に協力することなどは絶対に控えるべきだろう。
アイキャッチ画像はIranPollの調査
好感度では日本がトップ
コメント