日本国憲法の普遍的価値はイスラムにも見られる

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 明日は憲法記念日。憲法には国民の基本的人権を擁護するものとして下のような条文がある。

 「第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

日本国憲法なのだ!! より

 第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」  こうした基本的人権の尊重は、人類の普遍的価値であるに違いない。イスラムという宗教の中心にあるのは「正義(アドル)」という概念で、基本的には、イスラム共同体内部のムスリム相互の富の公平な分配、共同体全体の利益を考える政治、ムスリムの意思が政治に反映されること、またイスラム法が無視されていないこと、さらに対外的にはイスラム世界の運命が外部勢力によって決定されることがないことである。

 イスラム国家では「共同体(ウンマ)」、「正義(アドル)」や「公正(アダーラ)」、さらに「指導性(キヤーダ)」といった概念が特に重視される。特に、イスラムで重視されるのは、国家の性格ではなく、指導者の資質である。それゆえ、イスラムでは、支配者は敬虔で、賢明であることが要求され、神の啓示に基づく公正や平等に基づく支配を確立しなければならないとされている。

 国家の指導者が国民の基本的人権、すなわち福利や安寧に責任をもつことはイスラム世界も日本も変わらない。

 歴史家の半藤一利氏は戸高一成氏との対談をまとめた『日本人と愛国心 昭和史が語るもの』(PHP文庫、2014年1月)の中で、「安倍首相も小泉元首相も戦争を始めた責任者は誰なのかという視点に欠けている。戦前の日本は無責任に無責任を重ねていった結果が、アジア太平洋戦争であった。そのことを知るためにも昭和の教育は必要だ」と説いている。特攻作戦を命じた上官たちは「俺も後からついて行くから」と言って(特攻の)隊員たちを送り出したが、約束を守ったのは終戦時に割腹した大西瀧治郎中将と、沖縄に向かって出撃した宇垣纏(まとめ)中将だけだった。残った上官たちは「戦後の復興に尽くすことが自分の役目」と言い出し、隊員たちとの約束に触れることはなくなった。

日本国憲法なのだ!!

 憲法9条には「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とある。集団的自衛権は明らかに憲法違反だと思うのだが、「後方支援」で自衛隊員に犠牲が出たとしても、タカ派の政治家や「論客」たちは責任をとることがないだろう。歴史の教訓から学んでほしい。

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