日本はイスラエルの入植地建設を強く非難する

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 イスラエルは東エルサレムやヨルダン川西岸という占領地において入植地を拡大し続けている。被占領者の土地などの財産を奪うことはジュネーブ第四条約違反である。また、占領国が自国民の一部を占領地に移動させることも同条約49条で禁止されていて、国連安保理決議465号(1980年3月1日成立)もジュネーブ第四条約が、エルサレムを含む1967年以来イスラエルによって占領されているパレスチナ人の領土に適用され得ることを再確認している。

 日本は、今年5月12日の外務省報道官談話で「イスラエル政府当局がヨルダン川西岸地区における4、000棟超の入植地住宅建設を進める旨発表しました。我が国及び国際社会の再三の呼びかけにもかかわらず、イスラエル政府が入植活動を継続していることについて、日本として引き続き深く懸念するとともに強い遺憾の意を表明します。入植活動は「二国家解決」の実現を損なう国際法違反です。日本は、イスラエル政府に対し、上記決定の撤回及び入植活動の完全凍結を強く求めるとともに、緊張を高める行為を控えることの必要性を改めて呼びかけます。」とイスラエルの入植活動を非難した。

パレスチナに自由を
https://www.flickr.com/photos/billywilt/14487337088

 ヨルダン川西岸のイスラエル入植地に関する日本政府の立場は一貫している。たとえば、1980年9月23日、第35回国連総会一般討論において伊東正義外務大臣は、「わが国は、公正かつ永続的な中東和平の実現のためには、イスラエルが67年戦争の全占領地から撤退し、かつ国連憲章に基づき、パレスチナ人の民族自決権を含む正当な諸権利が承認され,尊重されなければならないと考えております。(中略 )わが国は、最近のパレスチナ自治交渉の停滞と西岸情勢の悪化を極めて憂慮しておりますが、その一義的原因が占領地における入植地の建設、東エルサレムの併合措置等イスラエルの占領政策に起因していることは、非常に遺憾なことであります。」とイスラエルへの強い批判の思いをにじませた。

伊東正義氏、女優の森光子さんと
https://books.bunshun.jp/articles/-/3520

 EUも2018年8月23日に、新たな入植地の建設が国際法に照らして不当であり、和平への障害になっていると強く非難した。また、イギリスのアリステア・バートアリステア・バート国務大臣(中東問題担当)もイスラエルによる入植地の拡大がイスラエル・パレスチナの二国家共存による和平を妨げるものであり、このような非生産的な行動を停止すべきだと訴え、公平で永続する和平のために適切な行動をとることを呼びかけた。

 ネタニヤフ首相は、2018年8月にリトアニアを訪問したが、訪問直前に「イスラエルに対するEUの非友好的な姿勢に対抗するためにEU諸国の分断を図り、より公正で、適切なEUの対イスラエル政策を実現したい」と述べている。ネタニヤフ首相のもくろみは「民族が混ざりすぎると問題が起こる」などと発言するハンガリーの極右のオルバン首相などと連携して、イスラエルのパレスチナやイラン政策について同意や賛同を求め、EUのイスラエル批判の立場を弱めたい意向だった。

 イスラエルはアメリカが最も重視するアメリカの同盟国だが、日本が日米同盟への配慮からそのパレスチナ政策を変更するようなことがあってはならない。

アイキャッチ画像は東エルサレムの不当な入植地は和平への障害だ
https://popularresistance.org/report-us-takes-tougher-stance-on-israeli-settlements/?fbclid=IwAR3OUng4arZNPIchMlkEghYpoicth5tMzeIyhb2GQAPoOJxi7x2A0EM-ujc

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