昨年12月に成立したイスラエル・ネタニヤフ政権にはかつてはテロ組織として解体が命ぜられたカハ党(カハネチャイ、「カハ・ナチ」とも呼ばれる)の流れを汲む諸政党も参加することになった。ネタニヤフ氏はヨルダン川西岸のC地域(アルバムの画像にある)の併合を考えている。

https://seichi-no-kodomo.org/2017/02/21/blog-170221/
2021年末のイスラエルの人口構成は944万9000人で、そのうちユダヤ人が698万2000人(全人口の73.9%)、アラブ人が199万5000人(全人口の21.1%)となっている。10月イスラエルのベエルシェバのソロカ病院の胸部および心臓外科部長であるギデオン・サハル医師はアラブ人が5人以上出産した場合には罰金を科すべきであると発言して、イスラエル国内のアラブ社会から「人種主義者」などと反発された。
イスラエルのユダヤ人たちにとってパレスチナ人の高い出生率は脅威となってきた。イスラエルはユダヤ人の国家であるというシオニズムのイデオロギーに基づいて成立したからだ。イスラエルのユダヤ人たちにはやがてパレスチナ人(アラブ人)の人口が上回るという恐怖がある。
イスラエルは、昨年3月、ヨルダン川西岸やガザというパレスチナ出身者がイスラエル市民と婚姻を通じて、イスラエルの居住権、市民権を取得する(イスラエルに帰化する)ことを禁止する法案を成立させた。きわめて人種的性格が強い法律とパレスチナ人をはじめ国際社会から批判されている。
1935年9月に成立したナチス・ドイツのニュルンベルク法は、ユダヤ人がドイツ人の血を汚染することを前提にドイツ民族の純潔を守るための人種差別法で、ユダヤ人とドイツ国籍者、民族的にドイツ人との婚姻を禁止するものだったが、今年3月に成立したイスラエルの婚姻法はナチスのニュルンベルク法を彷彿させるものだ。

1936年
https://www.independent.co.uk/news/world/europe/nuremberg-germany-s-dilemma-over-the-nazis-field-of-dreams-a6793276.html?fbclid=IwAR1gGx38W1MUyfEMAz06bXKwVga7Bmrk9xP2QWQLY_3KXqnYVoiFCFS81aA
イスラエルではこのように人種的傾向が強まっているが、昨年11月1日に行われた総選挙結果もイスラエルの人種的傾向をいっそう強めることになった。
総選挙で躍進した極右政党「ユダヤの力」党首のベン・グヴィル(47歳、法律家)は、イスラエル国内のパレスチナ系イスラエル人からイスラエルの市民権をはく奪して、イスラエル国家への忠誠が見られないと判断された場合にはイスラエルから追放するという民族浄化措置を提唱している。パレスチナ系イスラエル人の国会議員を「第5列(スパイ)」と形容し、パレスチナ系イスラエル人を放逐することを奨励する担当省を設立したいと述べている。イスラエル国内のパレスチナ系市民の「最終的解決」を見つけることに躍起となることは間違いない。「最終的解決」という言葉はナチス・ドイツがユダヤ人の絶滅について用いた言葉だった。

今年10月13日
https://www.middleeasteye.net/news/palestine-israel-ben-gvir-gun-sheikh-jarrah-residents?fbclid=IwAR2aROOSFgiIJEja6sZuuqp6tkLxSyhtvbywhcsmA9Tc_FUcUCeUAlPwQuc
イスラエルは世界史の流れに逆行するようにファシズム化し、いつか来た道に戻ろうとしている。アメリカにはこのファシズム化の流れを止める責任がある。イスラエルは国連決議を守らず、唯一アメリカ仲介の和平プロセスには完全ではないものの耳を傾けてきた。日本はアラブ連盟やヨーロッパ諸国などと協議しながら、イスラエルの国際法違反の行為には明白に「NO」の声を上げるべきだ。日本の外務省はずっとイスラエルの入植地拡大を批判してきたが、政治家たちはもっと国際社会で目立つようにイスラエルの国際法違反の行為を非難すべきだと思う。イギリスのスナク首相は、トラス前首相のイギリス大使館エルサレム移転の方針を踏襲しないことを明らかにし、エルサレムでは外交活動を行ってはならないという国連安保理を守る姿勢を明らかにした。

https://www.arabnews.com/node/2067256/middle-east
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