2015年11月13日のフランス・パリの6か所で起きた同時多発テロから8年が経過した。1周年の前日、16年11月12日に、イギリスの歌手スティングが、襲撃事件があったコンサートホール「バタクラン(Bataclan)」で公演を行い、「暴力からは何も生まれない」という歌詞がある「フラジャイル」を第一曲目にコンサートを始めた。このコンサートでスティングは新しいアルバムの中の地中海を渡る難民たちの心情を描いた新曲「イン・シャー・アッラー(インシャラー:神のお望みであったら)」も披露した。ムスリムの常套句であるアラビア語のタイトルの歌を唄うことで、スティングはアラブの難民たちにも心を寄せたかったのだろう。

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インシャラー
私の肩に寝入る子供、周囲は呪われた海しかない
不安そうな母は怯える
誰が彼女を、また誰が私を責められるだろうか。
インシャラー、インシャラー、
それが神の意志ならば、苦難はきっと過ぎていくだろう
インシャラー、インシャラー
風が吹く中、空気は冷たくなる
私たちが逃れる哀しいボートに風があたる
不安そうな瞳が暗闇の中で探している
波はまたうねりを上げる
(後略)
経験が私たちに教えてくれたこと。それは、愛するとは我々が互いを見ることではなく、共に同じ方向を見つめることなのである。(― サン=テグジュペリ)
フランスとイスラム世界の関係は、歴史的に見ると、「互いを見る」関係が続き、その負の遺産を引き継いでいる。フランスは、植民地主義的野心でISなどの暴力が席巻するシリアやイラクなどを人工的に造成した国だし、130年にわたってイスラムの国アルジェリアを支配した。

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フランスでは、移民の排斥を唱える右翼「国民戦線」が台頭し、イスラエルのガザ攻撃を受けて反ユダヤ主義的行動も増加している。
フランスがテロの抑制のために求められているのは、シラク大統領時代のように、アメリカのイラク戦争に強く反対したり、アラブ諸国との友好関係を維持したりして、アラブ・イスラム世界と共に進む姿勢を見せることだ。地中海地域をアラブ・イスラム諸国と共有するフランスにはこれら諸国と協調し、共通の目標をもつ背景がある。

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