ユダヤ人で、ナチスの迫害を逃れてアメリカに移住した政治哲学者ハンナ・アーレントは、ユダヤ人が自分たちを排除した国民国家の原理で国家を建設すれば、今度は自分たちが他民族を排除する側に回ってしまうと説いた。ユダヤ人がパレスチナに自らの国家を建設するならば、アラブ難民というかつての自分たちと同じ故郷喪失者を生み出すことになることを見通していた。また、イスラエルのユダヤ人たちが隣人であるアラブ人を敵視することになったら、敵対する民族に取り囲まれて暮らし、少数民族や他国の国民に対して抑圧的・排他的になっていくだろうと予見していた。そうなれば、イスラエル人は古代スパルタ人のように、兵士種族になるしかないし、世界中のほかのユダヤ人からも孤立することになるだろうと警鐘を鳴らした。

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イランでの核物理学者の殺害を見れば、イスラエルは兵士種族になっている感があり、世界中のユダヤ人どころか、世界から孤立しているようにも見える。
科学者のアルベルト・アインシュタインも、2019年10月から11月にかけて競売に出された文書の中で次のように述べている。
「アラブ人との直接的な協力だけが、理にかなった安全な共存をつくり出す(Only direct cooperation with the Arabs can create a worthy and secure existence.)」
「もしユダヤ人がこれを認識しなければ、アラブ地域におけるユダヤ人の地位は徐々に、完全に維持できなくなるだろう(If the Jews do not recognize this, the entire Jewish position in the Arab region will gradually become completely untenable.)」
ユダヤ教の唯一の「聖書」(タナハ)である『旧約聖書』「イザヤ書」2章4節はニューヨーク国連ビルの礎石に刻まれているが、
「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。
彼らは剣を打ち直して鋤とし
槍を打ち直して鎌とする。
国は国に向かって剣を上げず
もはや戦うことを学ばない。」とある。イスラエルの行為はこのタナハの内容をも忘れているかのようだ。

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イランの核物理学者を殺害するなどイスラエルの過度な行為は、イランを核合意から離脱させてイランを核兵器製造に向かわせることにもなり、イスラエルの安全をかえって損なうことになりかねない。ただでさえも、イスラエルが核兵器を保有する一方で、中東の他の諸国にはウラン濃縮も認めないという二重基準は、イスラエルや、それを容認するアメリカの安全を損なうことになっている。アメリカの二重基準はアルカイダのような過激派に暴力の動機を与えてきた。
アイキャッチ画像はHannah Arendt

2020年6月13日
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