パレスチナ・ガザでは2019年にアムプティ(手足などを失った人)によるサッカー・チームが創設された。今年末にトルコで行われるサッカー・アムプティ・ワールドカップに出場するために杖や義足を用いながら練習に励んでいる。
チームのメンバーの多くは、イスラエルの数次にわたるガザ攻撃や2018年3月に始まった「帰還のための大行進」などで脚を撃たれた人たちだ。「帰還のための大行進」は、現在はイスラエルの領土になっている故地に帰還することを要求する示威運動だった。その背景には2007年以来続くイスラエルによるガザへの経済封鎖があり、パレスチナ人たちの鬱屈した想いが噴出したものでもあった。パレスチナ人たちの故地への帰還は国連決議によって認められているし、またイスラエル兵の銃撃による殺傷についてはパレスチナ側には何の裁判権もなく、明白な人権侵害である。「帰還のための大行進」では少なくとも156人が脚を失ったと見られ(「アルジャジーラ」の記事)、市民の抗議に対して過剰に反応して障害を負わせることは人道に対する罪であることは明らかだ。
選手たちには狭いガザを出て国際試合に参加したいという希望があったり、精神的、あるいは肉体的苦痛をサッカーで克服したいという想いがあったりする。チーム最年少16歳のアブドゥッラー・ムハイマル君は2014年にイスラエルの仕掛け爆弾によって脚を失いプロサッカー選手になる夢を諦めたが、アムプティ・チームに入ることで新たな希望や挑戦を得ることになった。ヨーロッパ・アムプティ・サッカー連盟のサイモン・ベーカー事務局長は、メッシやロナウドは2本の脚でプレイするが、ガザのベスト・プレイヤーたちは1本の脚と杖でボールを追うと述べている。
13日、スーザン・サランドン、マーク・ラファロ、ヴィゴ・モーテンセン、ガエル・ガルシア・ベルナル、ケン・ローチなど40人以上の世界の映画スターや映画監督たちはパレスチナとの連帯の意思を明らかにしたエマ・ワトソンを支持する声明を出した。

https://mubi.com/…/versus-the-life-and-films-of-ken-loach
声明は、世界のあらゆる不義に反対し、エマ・ワトソンの「solidarity is a verb」という明快な書き込みは国際法の下でのパレスチナ人たちの人権への闘争との意義深い連帯を表すものであり、また占領者であるイスラエルと、軍事的占領とアパルトヘイトという差別制度の下に置かれたパレスチナ人との間には埋めがたい力の差があることを認めている。

https://www.pinkvilla.com/entertainment/hollywood/harry-potters-bonnie-wright-emma-watson-others-connect-over-climate-justice-group-chat-912468?fbclid=IwAR0ODAmwOSWiyLTUmdgExDg9Bh6hpFWJIYEL6gxmmPVvogVioFHMETjVYBg
また、イスラエルが東エルサレムのシェイフ・ジャッラやスィルワーン地区の住民たちを強制的に立ち退かせようとしていることに抗議し、12月に亡くなった南アフリカのデズモンド・ツツ元大司教の「不正の状況において中立であるならば、あなたは抑圧者の側を選んでいることになる」という言葉を引用しながら、署名者たちは、正義、自由、あらゆる人の平等の権利を求める側に立つことを強調している。
世界の注意がコロナウイルスに向けられ、またアラブ諸国がイスラエルと国交を正常化する中で、ともするとイスラエルによるパレスチナ人への人権侵害は忘れられがちだが、アムプティ・チームの活動とエマ・ワトソンの書き込みは、あらためてパレスチナ人にまつわる不義を思い起こさせるものだ。
アイキャッチ画像は
ガザのアムプティ(手足などを失った人)サッカー・チーム
https://www.middleeastmonitor.com/20220114-meet-gazas-first-national-amputee-football-team-training-for-the-amputee-football-world-cup/?fbclid=IwAR3CoGkJGtTSwTIOjKWuo9gZTDjhPteU2bltexYDtciZiLdAiQEol8Dy7F4
コメント