ブッシュ大統領の始球式と世界の理性が見た合衆国の戦争

日本語記事
スポンサーリンク
Translation / 翻訳

 今年のプロ野球日本シリーズは28日から、阪神とオリックスの関西勢同士の戦いになる。

 2009年の日本シリーズ巨人vs日本ハムの第3戦、東京ドームでブッシュ元大統領が始球式をしたことがある。虚偽の根拠でイラク戦争を始め、多数の犠牲者をもたらした元大統領の始球式には反発する声が一部で強くあった。誤ったことでも賛成し、協力を行い、自衛隊をイラクにまで派遣し、さらに日本シリーズの始球式に招請するなど国賓のような扱いで元大統領に配慮を行う日本の姿勢は世界にどう映っただろう。

ブッシュの始球式
http://www.asahi.com/special/ns/TKY200911030228.html

 日本と同様にイラク戦争を真っ先に支持したスペインでは2004年3月11日に同時多発テロが発生し、191人が死亡した。イスラム世界では不合理なイラク戦争への支持にはそれほどの反発の声が強くあった。現に、イラクに入った日本人は好意的には扱われず香田証生さんのように斬首された人もいた(2004年10月)。イラク開戦前にテレビ番組で一緒になった栗山尚一元外務省事務次官は番組の中ではイラク戦争支持の発言をしていたが、番組が終わると、「アメリカにも困ったものです」と語っていた。日本の親米派の外務官僚ですら、このようにイラク戦争に疑義を呈していた。

軽薄な感じでした
https://blog.goo.ne.jp/…/d701eef19c20ff489c8ef50bad9f4c06

 ブッシュ大統領が遂行した「対テロ戦争」についてアフガニスタンで人道支援を行っていた中村哲医師は「最近はテロリストという言葉の響きが変わってきまして、政治目的を達成するためには罪もない人を巻き添えにするということがテロリズムの定義とするならば、欧米諸国の軍以上のテロリズムはないんじゃないかと私は思います。」と語ったうえで、アメリカの戦争でアフガニスタンにもたらされたのはケシ栽培の「自由」だったと皮肉った。

同感に思います
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4361/

 米軍との集団的自衛権を認め、2015年に成立した日本の安保法制はそのテロリズムに無条件につき合うことを意味していた。

自由を売り物に

ほかの国の

自由を奪う

こんなデタラメが

まかり通るのか (「平和を願う五行歌」より http://5line.jp/no-war-gogyoka-top.htm )

 パレスチナ系アメリカ人の文学者エドワード・サイード(1935~2003年)は「わたしたちの民主主義を返せ」という論稿(オブザーバー紙2003年4月20日)の中で「アメリカ人はだまされ、イラク人はとてつもない苦しみを味わい、ブッシュはカウボーイ気取りにふるまっている。 限りなく重要な問題は、憲法の原則が踏みにじられ、選挙民は嘘をつかれているということだ。わたしたちこそが、みずからの民主主義を回復しなければならない国民なのだ。」とアメリカの民主主義に対する危機感を語った。

 カナダ出身のシンガーソングライターのニール・ヤング(1945年生まれ)の曲”Let’s impeach the President”(大統領を弾劾しよう:2006年)はブッシュ大統領のイラク戦争を皮肉ったものだった。歌の動画は

https://www.youtube.com/watch?v=k4kTnP5VJ1k にあるが、

Let’s impeach the President for lying

And misleading our country into war

Abusing all the power that we gave him

And shipping all our money out the door

嘘つきの大統領を弾劾しよう!

虚偽でアメリカを戦争に駆り出し

市民が委ねた権力を濫用し

市民の金を使い果たした大統領を!

などのニール・ヤングの詞に続いて、下の「対テロ戦争」に関するブッシュ大統領の発言の数々が挿入されているが、まったく支離滅裂、無責任、軽薄、また品格がないものであることがあらためてわかる。こんな大統領に唯々諾々と従った日本にイラクの人々が好感をもつはずがなく、イラク戦争支持については真摯な検証が必要だと思うが政治家たちからそのような動きが現れている様子はない。イラク開戦で虚偽の発言をしたブレア首相の責任を追及したイギリスとはまったく対照的だ。

“今言えるのはビン・ラディンが第一容疑者であるということだけだ”

“ビン・ラディンがどこにいるかなどわからない、あまり気にしていないからね”

“ビン・ラディンを捕らえる!正義を下す!生きていようと死んでいようと!”

“サダム・フセインはアルカイダのメンバーを含むテロリストを援助し保護している”

“私は911とサダム・フセインとの間に直接の関係があるとは言った覚えはない”

“戦争は最後の選択だ”

“いぶし出してやる、かかってこい!”

“愛国者法は憲法で保証されている”

“盗聴には裁判所の命令を要する”

“貯蔵庫は発見されていないが、サダム・フセインは大量破壊兵器を所持している”

“情報部の収集した情報がほとんどが間違いであったことは事実だ”

“もはや誰もアメリカの言葉を疑う者はいない。”

(訳は http://hollippertronics.blog24.fc2.com/blog-entry-31.html より)

すべての帝国は、自らの使命は他の帝国とは違って略奪や支配ではなく、教育すること、自由をもたらすことだと自らや世界に向けてうそぶくが・・・。
サイード
https://quotesgram.com/edward-said-quotes/

日本語記事
miyataosamuをフォローする
Follow by E-mail / ブログをメールでフォロー

If you want to follow this blog, enter your e-mail address and click the Follow button.
メールアドレスを入力してフォローすることで、新着記事のお知らせを受取れるようになります。

スポンサーリンク
宮田律の中東イスラム世界と日本、国際社会

コメント

タイトルとURLをコピーしました