中村哲医師 ―「剣によって立つ者、必ず剣によって倒される」

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Translation / 翻訳

「中村哲が14年に渡り雑誌『SIGHT』に語った6万字」と題するサイトは、中村哲医師がアフガニスタンでの実践から得られた政治・社会観を2002年から9年に渡って語った言葉を紹介している。

中村哲が14年に渡り雑誌『SIGHT』に語った6万字
アフガニスタンで長年、人道支援と復興に携わってきた医師・中村哲さんへ追悼の意を込め雑誌『SIGHT』に14年に渡り掲載した9本のインタビューを公開。


 その一部を引用すると、
「政治権力を誰がとるかということはアフガニスタンの内政の問題でるということですね。こっちとしては徳川家康が出ても、豊臣秀吉が出ても、それは彼らの選択であって外国人は口を出してはいけない、っていうのが基本的姿勢なので・・・」


「最近はテロリストという言葉の響きが変わってきまして、政治目的を達成するためには罪もない人を巻き添えにするということがテロリズムの定義とするならば、欧米諸国の軍以上のテロリズムはないんじゃないかと私は思います。」


「聖書の言葉を使うと、『剣によって立つ者、必ず剣によって倒される』と。これはもう歴史上の鉄則なんです。」


 「剣によって立つ者、必ず剣によって倒される」―アフガニスタンから撤退したアメリカのことをよく言い表しているように思う。タリバンの政権奪取をとらえて、武力で政権を奪うことは許されないという声が欧米諸国では上がっているが、武力でタリバン政権を崩壊させたのは、米英軍のほうだった。


 タリバン政権が成立したアフガニスタンに経済制裁を科すようなことがあれば、最も困難な状態に置かれるのはアフガニスタン国民であることは明白だ。


 WFP(国際連合世界食糧計画)は8月16日報告書を出し、アフガニスタンの現状が相当過酷であることを明らかにした。報告書によれば、栄養失調の危険にさらされる200万人の子供を含めて14、000人の人々が食料不足の状態にあり、今年1月には300万人以上が国内避難民であったが、それに加えて1月以来、38,9000人の人が新たに国内避難民となった。151,000人が新型コロナウイルスに感染し、今年1月から6月にかけて5500万人がWFPの支援を受けた。WFPは今年1390万人の人々を支援する予定だが、今後6カ月の間に1億9600万ドルを必要とするそうだ。アフガニスタンが人道的危機にあることは疑いがないが、アフガン人たちがこの「修羅場」を乗り越えるには国際社会がタリバン政権にどれほどの支援を与えられるかに関わっている。

タリバンの健全
「伝統社会の常識を基盤にする」―そうなのかもしれません
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/659185/


 政権を奪取したタリバンは、女性たちを特定の職種から排除するなど急進的な方策を当面とっていくだろう。以前にも書いたが、革命のような大きな政治変動の後には急進主義、過激主義が現れるが、次第に穏健化、現実化していったことはフランス革命などの歴史が教えるところだ。


 タリバンの報道官は日本人を必要としていると述べ、日本の支援を求めていることを明らかにし、同時に自衛隊には退去してほしいと述べた。中村哲医師は自衛隊の派遣は「百害あって一利なし」と参議院外交防衛委員会で2008年11月に述べ、自衛隊の派遣によって日本人が攻撃の対象となる危険性を指摘したが、アフガニスタンのタリバン政権に対して改めて中村医師の考えは日本人に教訓を与えている。

アイキャッチ画像は https://www.townnews.co.jp/0606/2022/01/21/609456.html より

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