冷戦時代、ロシアに反戦を訴えたスティング

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 23日、ロシアのプーチン大統領は、「祖国防衛の日」に際して核戦力の増強を訴えたが、これは日本の被爆者たちの核軍縮の想いに逆行するものであることは言うまでもない。1991年にソ連邦が崩壊した時、核兵器の抑止の上に成り立っていた冷戦が終結したと思ったが、思い出したくもない冷戦時代の記憶が甦るようだ。1983年の中曽根・レーガン会談で、中曽根首相が「日本はアメリカの不沈空母になる」と言った時は、ソ連の核ミサイルが日本を標的にしていることをあらためて知る思いで、背筋が寒くなるようだった。


 冷戦時代には欧米のミュージシャンたちも、ソ連(ロシア)の脅威を意識した反戦歌をつくっていた。イギリスのミュージシャンのスティングには、「ロシアンズ(Russians)」という楽曲があり、最後の一節は次のように歌われ、ロシア人にも子どもを愛する人間性があることに平和への期待が寄せられる。
動画は https://www.youtube.com/watch?v=wHylQRVN2Qs にある。


Mister Reagan says ‘We will protect you’  レーガンさんは「我々が守る」と言うが
I don’t subscribe to this point of view   私は真に受けない
Believe me when I say to you I hop ロシア人も子供を愛すよう願う
The Russian love their children too  という私の言葉に偽りはない
We share the same biology     イデオロギーがどうであれ
Regardless of ideology      我々体のつくりは同じ
What might save us, me and you  皆を救うのは、ロシア人も子供を愛しているか
Is if the Russians love their children too どうかにかかっているかもしれない
(1985年) https://denihilo.com/russians/
動画は https://www.youtube.com/watch?v=wHylQRVN2Qs にある。


 また、スティングの楽曲「Frajile(フラジャイル)」は、1989年のアメリカのパナマ侵攻を告発した映画「The Panama Deception(パナマの欺瞞)」の挿入歌として、一般市民がアメリカの攻撃による破壊による廃墟の中でやり場のない怒りや悲しみの表情を浮かべるシーンで使われている。


歌詞には
That nothing comes from violence and nothing ever could
For all those born beneath an angry star
Lest we forget how fragile we are
 とあるが、訳せば「暴力によっては何ももたらされない。怒りの星の下で生まれた者すべてにとって・・・私たちがいかに脆い存在であるかを忘れないように」といったところだろうか。動画は https://www.youtube.com/watch?v=vpL6nGX56KM にある。

オークフリー
「フラジャイル」
https://aucfree.com/items/e156212281


 西ドイツ第4代首相のヴィリー・ブラント(1913~1992年)は「平和が全てではないが、平和がなければ、全ては無である。」と語った。彼は、ナチス政権を嫌い、ノルウェーに亡命し、ジャーナリストとして活動した。西ベルリンの社会民主党(SPD)を指導して1957年に同市長となり、1964年にSPD党首となる。1964年に自由民主党(FDP)との連立政権で首相となった。「接近による変化」という考えに基づいてソ連や東欧諸国との関係正常化を推進した。


 ドイツは、東西冷戦の最前線にいる国として、核兵器をはじめとする重大な軍事的な脅威にさらされてきたが、ブラント氏は西ドイツで外交による平和を実現しようとした。「接近による平和」は北朝鮮をはじめとして近隣諸国との対話姿勢が希薄ないまの日本外交にも教訓を与えるものだ。いま、欧米諸国に必要なのはブラントが行ったようなロシアに接近して変化をもたらすことだ。同じ第二次世界大戦の敗戦国としてこの時代の西ドイツの外交には日本が学ぶところは少なからずあるだろう。

アイキャッチ画像はスティング
「ロシアンズ」
http://kikimimi.shop-pro.jp/?pid=66404089

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