忠臣蔵と西アジアの「義」の世界

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 12月14日は赤穂浪士の「義士祭」の日。「義」の心をもった家臣たちが苦労に苦労を重ねて心を一つにして、主君の仇を射ち、幕府の裁きの「不義」を訴えたことが長く日本人の心を捉えてきた。

長谷川一夫
http://www.pinterest.com/pin/288371182365104627/


 「義」の観念は広く中東イスラム世界でも尊ばれてきた。紀元前1000年頃、イラン高原の東北部で預言者ゾロアスター(ザラトゥシュトゥラ)によって開かれたゾロアスター教は、宇宙は正義で生命の神であるアフラ・マズダー(叡智の主)によって創造されたたと説き、人は神によって裁かれ、義者は天国に行くとし、また社会正義の促進を説き、善思、善行、善語を奨励する。


「我、よいこと思う。
ゆえによい我あり。」(『 アヴェスター』(ゾロアスター教の経典)より)


 アフラ・マズダーは、不滅と至福を約束する「正義」の王国の中心に存在する。人は聖霊(スパンタ・マンユ)と破壊霊(アンラ・マンユ)の闘争の中に位置づけられ、そのどちらかを選択することが要請される。


 ユダヤ教、キリスト教、イスラムに見られる最後の審判とそれに先立つ肉体の復活、天国と地獄などは、ゾロアスター教から継承したものと考えられている。


 イスラムという宗教の中心にあるのは「正義’adl」という概念で、基本的には、イスラム共同体内部のムスリム相互の富の公平な分配、共同体全体の利益を考える政治、ムスリムの意思が政治に反映されること、またイスラム法が無視されていないこと、さらに対外的にはイスラム世界の運命が外部勢力によって決定されることがないことである。イスラムもゾロアスター教と同様に倫理的色彩が強い宗教である。

イラン・カーシャーン近郊のゾロアスター教寺院
http://spaceweather.com/meteors/gallery_14dec08_page2.htm


 ゾロアスター教やイスラムなど中東で興った宗教の「正義」とは、人間社会にとっても普遍的価値をもっているといえるが、日本の政治も一部の人々の経済的利益を代弁し、国民の生活や生命を軽んずるような、「義」に反するものであってはならない。
アイキャッチ画像はhttps://www.flickr.com/photos/22495373@N06/5167551143 より

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