米国の哲学者、言語哲学者、言語学者であるノーム・チョムスキーは、11月上旬にi24 Newsとのインタビューの中で、イスラエルで「ユダヤ・ナチ的傾向」が強まっていることに関心を寄せざるをえないと発言した。チョムスキーは、ユダヤ系の米国人だが、イスラエル・ヘブライ大学の教授であったイェシャヤフ・レイボヴィッツ(1903~1994年)がイスラエルの占領が続けば、イスラエルは「ユダヤ・ナチ」に転ずるという警告を発したことに触れ、ユダヤ・ナチは強い表現だが現在のイスラエルの行動に言い得るものだとインタビューの中で語っている。

http://www.memegen.com/meme/0q8mld
レイボヴィッツは、「イスラエル国家」と「シオニズム」はユダヤ人のヒューマンな価値観を上回るようになり、イスラエルの占領地でのふるまいをユダヤ・ナチ的なものと表現した。レイボヴィッツは、1953年にイスラエルの特殊部隊である第101部隊(後に首相となるアリエル・シャロンが指揮を執っていた)がヨルダン川西岸のキブヤで、非武装の女性や子供たちなど70人を虐殺し、村を破壊すると、この虐殺がシオニズムの産物であると断定した。シオニズムというナショナリズムが、テロリストではない、正規の軍隊に残虐な行為を行わせたというのがレイボヴィッツの考えであった。

https://jp.sputniknews.com/japan/201602151615810/
虐殺を犠牲者たちのせいにするのは、人としての尊厳を大きく傷つけるものであり、現在のイスラエルでは、占領に反対する者たちに「裏切り者」のレッテルを貼る傾向が、イスラエルの左派勢力をイスラエル政治の舞台から消滅させることになったとチョムスキーは主張している。また、ガザの200万人の人々を「強制収容所」に押しとどめ、悪意ある封鎖の下に置くことは、まったく正当化されるものではなく、イスラエルの占領の継続がアラブ人たちの反感を招き、かえってイスラエルの安全を損なうというのがチョムスキーの考えだ。
チョムスキーが主張する通り11月のイスラエル総選挙では、イスラエル国内のパレスチナ人の追放を訴える極右の「宗教的シオニズム」が14議席獲得と躍進した。力でパレスチナ人たちの民族的切望や権利を封じることは、イスラエル国家のイメージを損なうことにもなり、イスラエル最大の同盟国である米国もイスラエルの極右の台頭を懸念するようになり、「宗教的シオニズム」の指導者が国防相など安全保障のポストに就くことを反対する姿勢でいる。米国政府もイスラエルでのユダヤ・ナチ傾向を認めるようになっている。
※チョムスキーのインタビューは https://www.youtube.com/watch?v=aAQ0NZOiaFA にある。
アイキャッチ画像はチョムスキー
https://dailytimes.com.pk/69425/noam-chomsky-speaks-on-kashmir-unrest-compares-it-with-palestine/?fbclid=IwAR2Lz8975IvMr9esjsQtGBavAdSWbhD5xlirXrw5ffabLrhmzIkD-s0F65A

ユダヤ人の本性は当然のことだが、イスラエルの極右のようなものばかりでない
https://archive.jewishcurrents.org/tag/hebrew-university/
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