日本とイスラム世界に共通する精神世界 ―任侠

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Translation / 翻訳

 『広辞苑』によれば「任侠」とは、「強きをくじく気性に富むこと。また、その人。おとこだて。」また、「侠客」とは、 強気をくじき弱きを助けることをたてまえとする人。任侠の徒。江戸の町奴(まちやっこ)に起源。多くは賭博・喧嘩渡世などを事とし、親分子分の関係で結ばれている。おとこだで」とある。

赤塚不二夫「ギャグゲリラ」より


 イスラム世界と日本で「人情」「ウェット」な人間関係で通ずるものあるとすれば、「任侠無頼」の考えがあることだ。

 イスラムには若者らしさを意味するアラビア語で「フトゥーワ」という倫理的概念があり、正義の遂行、言行不一致、勇敢さ、忍耐、誠実などを徳目としている。

イスラム世界中世の「アイヤール」は、イラン・イラク地方で、富裕な者から略奪する一方で彼らが異端と考える宗派(ハワーリジュ派)など外敵から都市を防衛する活動を担うという二面的な性格をもっていた。

藤純子
http://blog.livedoor.jp/yousayplanet/archives/6713033.html

 アイヤールの中にはブワイフ朝(932~1062年:現在のイラン・イラク地方を支配)の大アミール(最高指導者)となったアブー・カーリージャールもいたし、トルコ系の王朝で、東西世界を支配し、十字軍設立のきっかけをもたらしたセルジューク朝ではスルタン(国王)や宰相の家族もそのメンバーとなっていた。

 イランのカージャール朝ではルーティー集団が活躍したが、この集団の精神的な基盤となったのは、ペルシア語の「ジャヴァーンマルディー」という言葉だった。「ジャヴァーンマルディー」は、「目上の者への敬意、困窮者への支援、仲間意識の尊重、献身的精神の発揮などである。ルーティーの語義としては「他者に糧を提供する者「生まれながらの奉仕者」「自発的提供者」などとされている(八尾師誠氏の説明による)。男気を発揮したこの集団からはイランの憲法を制定しようとする運動(立憲革命:一九〇五~一一年)の指導者たちも現れた。

アマゾンより


 また、アラブではないイランのカージャール朝ではルーティー集団が活躍したが、この集団の精神的な基盤となったのは、ペルシア語の「ジャヴァーンマルディー」という言葉だった。「ジャヴァーンマルディー」は、目上の者への敬意、困窮者への支援、仲間意識の尊重、献身的精神の発揮などを意味する。「ルーティー」の語義は「他者に糧を提供する者「生まれながらの奉仕者」「自発的提供者」などとされている(八尾師誠氏の説明による)。


 弱者に対する共感はイスラムの宗教心情としても強くあるが、イスラム世界の人々が日本に対して抱く親近感は、医療や教育支援など日本がイスラム世界の弱者に寄り添う姿勢を見せてきたからだろう。
アイキャッチ画像は桜吹雪
http://photohito.com/photo/132874/

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宮田律の中東イスラム世界と日本、国際社会

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