6月23日は沖縄慰霊の日だが、沖縄戦を体験した高齢の女性はニュースで「戦争は嫌ですよ。戦争になったら基地がある沖縄には(戦争は)真っ先に来そうな気がします。」と述べていた。ロシアのウクライナ侵攻がある中で戦争の恐怖は以前にも増して身近なものとなっている。冷戦中、ソ連の核ミサイルは米軍の基地がある沖縄に向けられていた。ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用を口にする中、沖縄の人々は核の脅威をあらためて感じていることだろう。
アフガニスタンで用水路の建設や医療支援などを行ったペシャワール会現地代表の中村哲医師は、ペシャワール会が2002年に第1回沖縄平和賞を受賞した際に、受賞の挨拶で「沖縄の抱える矛盾は日本の矛盾であり、米軍に協力しないと生き延びられない事情は、かの地も同じ」と語っていた。中村医師は「アフガンも沖縄も戦争の犠牲となり、非戦と平和を希求し続けている。アフガンと沖縄の心を、命の重さを発信する拠点としたい」と語っていた。(「西日本新聞」2019年12月14日)
沖縄は米軍のアフガニスタンでの対テロ戦争で、補給や訓練の基地として機能していた。嘉手納基地はアメリカの対テロ戦争に使用された。嘉手納基地からは第33救難飛行隊などがアフガニスタンに派遣され、アフガニスタンで活動するF15戦闘機やアッパチヘリの攻撃を支援していた。また、沖縄のキャンプ・キンザーに駐屯する海兵隊もアフガニスタンの南部ヘルマンド州キャンプ・レザーネックなどに派遣されたが、その派遣は嘉手納基地を介して行われていた。2011年8月6日には、沖縄駐留海兵隊兵士がアフガニスタン・ヘルマンド州で戦死したという報道もあった。沖縄の海兵隊はアフガニスタンでは補給が主な任務のようだったが、米本土よりも地理的にアフガニスタンに近い沖縄は、当然のことながら米軍にとっては都合の良い補給拠点だった。

https://www.okinawa-seisaku.org/archives/3923
中村医師は、辺野古はどうなっていますか、大変ではないですかと沖縄の人々に繰り返し尋ねていたそうだ。女優の樹木希林さんも東海テレビの終戦70年記念の特集番組では、沖縄の平和の礎を訪問し、また辺野古の基地建設に反対する人々の声に耳を傾け、沖縄戦から辺野古移転までの経験を語る当時86歳の島袋文子さんの手をとり、「辺野古の問題を俳優仲間に伝えたい」と語ったことがある。
http://silvershield.link/kirin-kiki-2/
また、30年以上戦争童話の朗読会を継続した女優の市原悦子さんは、集団的自衛権の行使容認を含めた平和安全法制について「私は『国民の命と財産を守る』という主張に、すごく引っかかります。『じゃあ今までそんな政治をしてくれたの?』とまず尋ねたい。水俣病患者を救済してない、原発事故の後始末はまだ、基地問題も沖縄の人の気持ちをくんでない。そんな人たちが美しいことを言っても信じられない。戦争につながる集団的自衛権の行使には賛成できません。」と語っていた。

https://ameblo.jp/mitosya/entry-12536052038.html
アメリカの言語学者のノーム・チョムスキーは、2018年9月に、チョムスキーや映画監督のオリバー・ストーン、歴史家のジョン・ダワー、平和活動家のマイレッド・コリガン=マグワイアを含む133人がトランプ大統領と安倍晋三首相に対して辺野古基地の建設停止を求め、沖縄の非軍事化を求める声明を出した。2014年2月の「ジャパン・タイムズ」とのインタビューでも、チョムスキーは、沖縄の民意が辺野古移転反対なのに、移転を強行するのは嘆かわしいことであり、辺野古の問題は、民主主義と平和にとって重要な意味をもっていると述べた。

https://www.pinterest.jp/pin/426434658460576002/
2004年に起きた沖縄国際大学への米軍ヘリコプター墜落事故では、日本の警察も消防も事故現場への立ち入りを許されなかった。米軍には依然として占領者意識が強く、日本の主権に対する配慮が希薄で、また日本政府の米国への弱腰姿勢はいつも顕著だ。チェ・ゲバラは広島の原爆資料館を訪れて、「日本はこんなにひどいことをされてもアメリカの言いなりになるのか」と語ったが、主体性のない外交は国際社会から敬意をもたれない。サンフランシスコ講和条約で日本が主権を回復した1952年4月28日は、主権を回復することができなかった沖縄では「屈辱の日」とされている。このような沖縄の県民感情に配慮すれば日本政府にはアメリカの要求に腰砕けにならないことがいよいよ求められている。
アイキャッチ画像は第1回沖縄平和賞贈呈式で稲嶺恵一知事(当時・左)から記念品を受け取る中村哲医師=2002年
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1037052.html

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/17121
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