10月1日、アメリカのジミー・カーター元大統領が98歳の誕生日を祝った。アメリカの歴代大統領の長寿記録をさらに更新した。つまりアメリカの大統領経験者としては最も長生きをしているのだ。1924年(日本で言えば大正13年)生まれで、日々の楽しみは出身地ジョージア州を本拠地とするアトランタ・ブレーブスの試合をテレビで観戦することだという。カーター氏は、イスラエル・ロビーの嫌がらせや圧力にもかかわらずイスラエルのアパルトヘイトをあからさまに批判してきた。イスラエル・ロビーはイスラエルに不利益な言動をする政治家を監視し激しく批判したり、その落選を図ったりする活動をし、アメリカの中東政策がイスラエル有利になるように仕向けている。
カーター氏もその著書『カーター、パレスチナを語る―アパルトヘイトではなく平和を』(2008年)の中で、アメリカの政治家にとってパレスチナに少しでも同情を示すことは政治的自死行為に等しく、ごくごく少数の議員しか、パレスチナのヨルダン川西岸ラマッラー(ラマラ)、ナブルス、ヘブロン、ガザ、ベツレヘムを訪れようとしないと嘆いた。パレスチナに共感すれば、イスラエル・ロビーの様々な圧力によって選挙で落とされる可能性があるからだ。またアメリカ人にはイスラエルによるパレスチナ人に対する忌まわしい抑圧の実態、アパルトヘイトを知ってほしいとも語っている。

ジミー・カーター
https://books.rakuten.co.jp/rb/5720487/
おそらくカーター氏と広島県の甲奴町(こうぬちょう)との交流は日本であまり知られていないのではないか。甲奴町は2004年に三次(みよし)市に統合した町だが、そこにある正願寺の梵鐘は第二次世界大戦中に日本の兵器製造のために強制的に供出された。しかし、この鐘は兵器の製造に用いられることなく、経緯は不明だが、イギリスからアメリカに渡り、1985年にフロリダ州で競売に出されたのをアトランタ市の日本人商工会が購入し、民間外交によって平和を希求する活動を行うカーター・センターに寄贈した。カーター・センターでは鐘が元々は広島県の寺のものであること、また平和への願いを込めて「ヒロシマの鐘」と名づけた。これを知った甲奴町長がカーター元大統領に甲奴町を訪問することを要請すると、カーター氏は快諾して、90年に甲奴町を初めて訪問した。カーター氏の訪問を記念して町の中心部を「カーター通り」と名づけ、94年に平和、人権、生涯学習を学ぶ「ジミー・カーター・シビックセンター」が完成し、式典にはカーター氏夫妻も出席した。

甲奴町の正願寺所蔵の梵鐘は、現在アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ、カーター・センターに永久的に保存されております。
この記念碑とアトランタにある梵鐘は、人類平和のために、たゆまぬ努力を続けることを、常に我々に教えてくれるでしょう。
アメリカ第39代大統領 ジミー・カーター
ジミー・カーター・シビックセンター
https://hiroshimaforpeace.com/the-bell-of-peace-as-a-symbol-of-peace-that-connects-hiroshima-with-former-u-s-president-jimmy-carter/?fbclid=IwAR33hYkXu7uTHcrVyK3Ls2MH6l5vJJ7VaZyt-gLWxfWWBKLxDDf2Zu8m7WM
これが縁で甲奴町の中学生たちとジョージア州のアトランタ市やアメリカス市の中学生たちがホームステイを交換するようになり、カーター氏はジョージア州を訪れる甲奴町の中学生に毎年面会に来るそうだ。カーター氏がピーナッツ農家であったことから、カーター氏はピーナッツを甲奴町に寄付し、そのピーナッツを作付けして、甲奴町でもピーナッツの栽培が盛んになり、「カーター・ピーナッツ」と名づけられるようになった。
甲奴町の「ジミー・カーター・シビックセンター」の屋外に建てられた「友愛の鐘記念碑」には次のようなカーター元大統領の直筆の言葉が刻まれている。
「1990年10月21日
人間一人ひとりが、平和と相互理解のために努力する責任があります。
甲奴町の正願寺所蔵の梵鐘は、現在アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ、カーター・センターに永久的に保存されております。
この記念碑とアトランタにある梵鐘は、人類平和のために、たゆまぬ努力を続けることを、常に我々に教えてくれるでしょう。
アメリカ第39代大統領 ジミー・カーター
ジミー・カーター・シビックセンター」(『国際平和拠点ひろしま』より)
正願寺の鐘はジョージア州のカーター・センターに展示されていたが、今年9月30日に鐘楼堂が旧甲奴町も含む三次市が木材を提供するなど協力して完成し、80年ぶりに鐘がカーター・センターで鳴り響くことになった。カーター氏は2002年に国際紛争の解決に努力し、人権と民主主義の発展に貢献したことを評価され、ノーベル平和賞を受賞している。カーター氏の平和への願いは「ヒロシマの鐘」の響きとともに世界に向けて訴え続けるだろう。
アイキャッチ画像は昨年の結婚75周年パーティーに出席したジミー・カーター元大統領とロザリン夫人(AP)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0a05a3fdad38f82a122afb7e0df3a3c924d9daed?fbclid=IwAR2qjakymO8FUJU3NlRGqH23bYQp3jtn1p5yU1XMaRIjo0bRYZggavhXyV4

https://hiroshimaforpeace.com/the-bell-of-peace-as-a-symbol-of-peace-that-connects-hiroshima-with-former-u-s-president-jimmy-carter/?fbclid=IwAR33hYkXu7uTHcrVyK3Ls2MH6l5vJJ7VaZyt-gLWxfWWBKLxDDf2Zu8m7WM

1990年
https://hiroshimaforpeace.com/the-bell-of-peace-as-a-symbol-of-peace-that-connects-hiroshima-with-former-u-s-president-jimmy-carter/?fbclid=IwAR33hYkXu7uTHcrVyK3Ls2MH6l5vJJ7VaZyt-gLWxfWWBKLxDDf2Zu8m7WM

https://digital.asahi.com/articles/ASQ9W6WJSQ9VPITB00Y.html
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