あらためてイラク戦争の意義を問う ―ブッシュ元大統領の言い違い

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 米国のブッシュ元大統領は18日、テキサス州ダラスの南メソジスト大学でスピーチを行い、プーチン大統領によるウクライナ侵攻を批判し、「一人の男の決定で全く不当で野蛮な『イラク侵攻』が始められた」と述べた直後に、言い間違えに気づいて「いや、(イラクではなく)ウクライナ侵攻だ」と言い直した。MSNBCのニュース番組MCのメフディ・ハッサン氏は「史上最大のフロイト的失言(無意識的本心が表れた失言などの意味)の一つ」と形容した。

 ブッシュ氏は「愚か者」のように見えるが、イスラム神秘主義の詩人ルーミーは下のように「愚か者」を詠んでいる。

鳥が空を飛び、その影が 地上に映し出される

愚か者はその影を追いかけ 走りに走って力尽きる

影に向かって矢を射かけ 矢筒は必ずや空となる

彼の人生という矢筒は空になり 影を追い求め徒労に終わった

「自らをアメリカ主義者と自称する超タカ派が主要ポストにつけたブッシュ政権は、人権を無視し、国連など鼻であしらい、弾道迎撃ミサイル(ABM)制限条約の一方的破棄、そして地球温暖化対策の京都議定書の破棄などの政策を取った。」 ―ジョン・ダワー(『朝日新聞』夕刊、2002年1月29日)

メルカリより

 米国は2003年3月に、テロとは何の関係もないイラクのサダム・フセイン大統領を排除するために、イラク戦争を開始した。911の同時多発テロが発生して数時間後にラムズフェルド国防長官は、イラクへの攻撃を提言していた。米軍はカブールとバグダッドというアフガニスタンとイラクの首都を占領したが、これら二国ではテロは拡散して増加し、数百万とも見られる人々が難民化していった。

 イラクで「ISIS(イラク・シリアのイスラム国)」の攻勢が強まり、現体制が崩壊するという事態になれば、イスラムにイデオロギーの正統性を求める武装集団による初めての統治が成立することになる。

 イラク戦争に関するブッシュ政権の構想は「大中東」をつくり出し、日本のように、イラクに米軍が半永久的に駐留し、イラクからシリア、イランに軍事的ににらみをきかせ、中東で「パックス・アメリカーナ(アメリカによる平和)」を実現するというものだった。

 ブッシュ政権は、フセイン時代の35万人余りのイラク軍を解体し、12、000人程度の国境警備隊をアメリカの訓練によって創設することを考えた。そしてサダム・フセインの軍隊を解体したことが、大量の失業者を生み、スンニ派の武装集団をつくり出し、彼らを米軍や米国がつくった政府に対する暴力的活動に駆り立てることになった。旧軍人たちはスンニ派の武装集団にフセイン政権時代のイラク軍の武器・弾薬を供与していくことになり、それもまた現在のISなど武装勢力の戦闘能力を支えることになっている。

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 ISの台頭に対して、イラク政府はISへの空爆を米国に要請したが、フセイン政権は中東でも最強の部類に入る空軍力を保有していたが、ブッシュ政権はフセイン後のイラクには空軍は必要ないと考え、イラク空軍も解体した。

 2006年2月にブッシュ大統領は、北アフリカから中東、中央アジアに至る「不安定の弧」が次第に「自由の弧」になっていると述べたが、シリアやイラク、さらにはカラチ空港が襲撃されたパキスタンの例のように、武装集団による暴力はますますエスカレートするようになっている。

アイキャッチ画像はブッシュ氏とロシアのプーチン元大統領

George W. Bush confuses Ukraine with Iraq, calls it "unjustified" invasion
"The decision of one man to launch a wholly unjustified and brutal invasion of Iraq," Bush said at his own presidential library.
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