ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵攻前に「アメリカが戦争に引き込もうとしている」と発言していた。
「1.我々は戦争をしたくない。2.しかし、敵側が一方的に戦争を望んだ。」これは、アンヌ・モレリ『戦争プロパガンダ 10の法則』に紹介される最初の2つの法則で、プーチン大統領の理屈によく当てはまる。

紀伊國屋書店の画像より
ノーベル文学賞を受賞したアメリカの歌手ボブ・ディランの父方の祖父は、ウクライナの港湾都市オデッサ出身のユダヤ人で、ユダヤ人に対する暴力的襲撃ポグロムが席巻する中で1905年にアメリカに逃れるように移住した。

https://www.travel-zentech.jp/world/map/Ukraine/Odessa.htm
ボブ・ディランの詞には、政治・社会的な意味が強く込められているのは周知の通りだが、ディランの「風に吹かれて」をカバーしたスティービー・ワンダーは「60年代のベトナム戦争。70年代のウォーターゲート事件。80年代の反アパルトヘイト。90年代の湾岸戦争。この歌が歌われ続けることの背景にあるものが、僕には悲しい」。と語った。
ボブ・ディランの「風に吹かれて」には
「彼女が砂浜で眠るために
いったい何発砲弾をとばせばいいんだろう?
永遠に砲弾をなくすには
答えはね、我が友よ、吹き抜ける風の中さ
そう、答えは風の中なんだ」
とあり、懲りない人間社会の愚かしさが表現され、スティービー・ワンダーの発言があってもアフガン戦争、イラク戦争を経て、いままたロシアがウクライナを侵攻する可能性がある。国際的な人権団体のアムネスティ・インターナショナルはイスラエルを「アパルトヘイト国家」と断定した。アメリカで暮らした80年代、ワンダーが言うように大学では学生たちの政治的関心は反アパルトヘイトにあった。

君とよくこの店に来たものさ
わけもなくお茶を飲み話したよ
学生でにぎやかなこの店の
片隅で聞いていたボブ・ディラン
旧約聖書に出てくるヘブライ語の「ツェデク(男性名詞、女性名詞はツェダカー)」は「義」を意味するが、正義は神の支配の最も根本にあるものであり、神ヤハウェは正しい裁きを行うことによって、虐げられている人、貧しい人、やもめ、みなしごなど弱者を救済するとされる。こうしたユダヤ教の価値観がディランの歌にも表れているのかもしれない。
また、ディランは雑誌『ローリング・ストーン』のインタビューの中で、「私の音楽はイスラム神秘主義から生まれたものだ」と語っている。イスラム神秘主義は神への愛を重視し、愛によって人間を解放し、救済しようとする。いずれにせよ、戦争やアパルトヘイトは「義」や「愛」とは無縁な世界だ。
ディランの社会正義の考えは、ユダヤ教の聖典である旧約聖書や、活動していたニューヨークの左派の活動家たちに影響された。彼は、大企業が支配する経済、不平等で、軍国主義的、人種主義的な考えが横行するアメリカに反発した。
アイキャッチ画像は https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12579397856.html より
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