ハージョ・マイヤー博士(1924~2014年)はオランダの物理学者で、アウシュビッツでの収容経験があり、晩年は反シオニズム(イスラエル国家の基盤となるナショナリズム思想)の運動に従事した。世俗的なドイツ・ユダヤ人の弁護士の家庭に生まれ、1938年11月に発生したナチス・ドイツによるユダヤ人排斥暴動「水晶の夜」後にドイツの学校で学ぶことを許されなくなり、オランダの難民キャンプでの生活を余儀なくされた。1944年にナチス・ドイツに拘束され、10カ月間アウシュビッツ強制収容所での生活を強いられた。父親はチェコのテレージエンシュタット強制収容所で病没し、また母親はアウシュビッツで自死した。
戦後はフィリップス電気に雇用され、フィリップス物理学研究所の所長となった。晩年は「国際ユダヤ・反シオニズム・ネットワーク(The International Jewish Anti-Zionist Network :IJAN)」のメンバーとなり、平和運動組織「多様なユダヤの声」の幹部となった。
晩年はイスラエルが「ホロコースト」をパレスチナ人に対する犯罪を正当化するために利用していると非難するようになった。2010年にイギリス労働党のジェレミー・コービン氏に招請された講演会では、空爆などイスラエルのガザの人々に対する扱いをホロコーストにおけるユダヤ人の大量殺害にたとえた。
2010年1月23日、スコットランド・エジンバラのオーガスティン統一教会の講演会で彼自身のシオニズム観を次のように説明している。
イスラエルのシオニズムとは、敵は完全に抹殺しなければならないという一種の終末論的見解をもつもので、スターリン主義やナチズムとも同様な見解だ。2009年9月、イスラエルのネタニヤフ首相はイランを攻撃する戦争の口実としてホロコーストを引き合いに出したが、アウシュビッツの強制収容所の犠牲者にシオニズムに共感をもつ者はほとんどいなかったし、また自分が育ったドイツでもシオニズムを支持する者は非常に少なかった。シオニズムはホロコースト犠牲者を代弁するイデオロギーではまったくない。ユダヤ教とシオニズムは旧約聖書の教えにルーツをもつが、ユダヤ教は宗教であり、シオニズムはイデオロギーである。ユダヤ教はすべての人間は平等であるというヒューマニズムに基づき、それゆえにアメリカやイギリスでも多くの信徒たちが存在する。旧約聖書「レビ記」には「あなたたちの中にいる外国人は、あなたたちの間で生まれた人のように扱いなさい」とある。なぜなら私たちユダヤ人はかつてエジプトで外国人であったからだ。このような輝かしい宗教倫理はシオニズムとは真逆なものである。シオニズムによるイスラエルの「民主主義」はシオニストのためのものであり、パレスチナ人をも対象とする民主主義ではない。政治シオニズムは外国人嫌い、ナショナリズム、植民地主義、人種差別主義の性格をもっている。
アメリカ・バイデン政権のイスラエルへの7億3500万ドル相当の武器売却のほとんどが精密誘導ミサイルの売却になる。この精密誘導ミサイルがガザ攻撃に用いられることは明らかで、容易にパレスチナ人を攻撃、殺害するという発想はやはり人種差別的である。アメリカの姿勢もまたパレスチナ和平、パレスチナ人の人権を軽視するものだ。
アイキャッチ画像は大量虐殺は世界の沈黙から始まる
―ハージョ・マイヤー
イスラエルのパレスチナ人虐殺を非難する
https://twitter.com/tomlondon6/status/1028663707461660673?lang=da&fbclid=IwAR0ex-yLfUAD4dfb40M-NHKH3HQ46nS8WKoiLguz0bXD_VxvIKZjV5uiNrI

https://www.breakingnews.ie/ireland/coveney-calls-for-united-message-against-israeli-palestinian-violence-1128080.html?fbclid=IwAR1mYbu9OKN8OWtMm_MwIPXye83btzqiwuTTVcVPvxC0iFAR03-KttW95vM
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