反戦を貫きながら1944年にフィリピン沖で戦死した東大生・中村徳郎(とくろう)さん(1918~44年)の手紙や日記などの資料47点について、2019年3月27日、甲州市教育委員会は市の文化財に指定することを正式決定した。甲州市の保坂一仁(かずひと)市教育長は「ありのままの資料がないと、歴史が変わって伝わる恐れがある。文化財指定により、記録を正しく残せる」と語っている。
https://mainichi.jp/articles/20190304/k00/00m/040/127000c

(中村克郎)
中村徳郎氏の弟、中村克郎氏は山梨県甲州市の医師でありながら、「きけわだつみの声」の編集を行った。『天皇陛下の為のためなり』(1989年発売)では「一人一人の生命の尊さ、重さは日本以外の国々の人でも同じです。そのことを考えないで、『国難に殉じた英霊のみたまを国がまつるのがなぜ悪い』と開き直る人たちは、みな今の日本の軍隊をもっともっとふやし、『ソ連が攻めてくるぞう、来たらどうする』と言って、国民の血税をとめどなく軍事費にまわそうしてふやそうという人々とイコールになっています。」と語っている。中村克郎氏の危機感はいままた深刻になっていることに容易に気づく。

ブドウ
http://www.kaikoen.jp/blog/2016/09/この時期、ぶどうの種類が豊富です/
一橋大学の学長も務めた歴史学者の上原專祿氏(1899~1975年)は、「過去は単なる時間的経過の区切りのことではなく、過去は現在であり、現在は未来に結ばれている。われわれは、過去を背負って生きていくものに他ならない。」と述べた。過去を改ざんしては現在も未来も正しく生きていけない。

常々歴史はナショナリズムに援用されることがあってはならないと思っている。日本も歴史認識で近隣諸国と円滑な関係を築けないでいるが、決してナショナリズムで対抗し、尖鋭な対立感情を煽ることがあってはならない。歴史問題についても冷静に対応すれば、日本に対する国際社会の共感は定着するはずだ。
敗戦国として日本とドイツが比較されることがあるが、共同通信の杉田弘毅・編集委員は、「沈黙が生んだ犯罪 -歴史の記憶」と題する記事の中でホロコースト関連施設の保存運動に関わるドイツ・コンスタンツ大学のアスマン教授の「歴史をしっかり自らに結びつけて考えることが大事だ」という発言を紹介している。同記事の中で1951年の西ドイツの世論調査として、40%の人々がナチス政権成立の1933年から第二次世界大戦開戦の1939年までの時期を「ドイツが最もうまくいった時期」と回答したことにも触れ、ナチス政権はヴェルサイユ体制からの脱却を行い、社会・経済インフラを整備し、失業率を低下させ、「強いドイツ」をつくったことが、ユダヤ人迫害などの残虐な行為や侵略に国民を沈黙させたと杉田氏は述べている。
「戦後レジームからの脱却」「強い日本」などナショナリズムに訴える姿勢は、世界から尊敬を得られるものでは決してない。トランプ前大統領の「アメリカ第一」に共感をもった日本人はほとんどまったくいなかっただろう。
不敗国であるとて、誇りに思って済ましていられるだろうか。うぬぼれた国で興隆した国はない。 ―中村徳郎(1943年5月15日)

主演・宮永咲役 浜辺美波さん
http://cinema.u-cs.jp/interview/saki-hamabe/
編集
10丸山 夕貴子、Shuji Watanabe、他8人
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アイキャッチ画像は© 毎日新聞 戦中に撮影した中村徳郎氏(左)と克郎氏=わだつみ平和文庫提供
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/反戦貫き出陣、戦没…東大生手記を文化財指定へ-甲州市、全国初/ar-BBUlqoj?ocid=spartandhp#page=2
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