終戦の日 -相互理解と融和こそが求められる

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 78回目の終戦記念日天皇陛下は「多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」と述べた。(毎日新聞)


 作家の故野坂昭如氏は、自らの短編小説でアニメ映画にもなった「火垂るの墓」について「幼い妹の世話は父や母のように出来ない、妹に食べさせるつもりの食糧まで自分が食べてしまい生後1年半の妹を死なせてしまったと現在でも悔やんでいるのです。妹が自分の手の中で死んでいったこと、亡骸を自分で火葬したこと、その骨をドロップ缶に入れていたこと、この辺りのエピソードは全部実話です。」と語っている。
http://matome.naver.jp/odai/2137860240391360001


 「火垂るの墓」の高畑勲監督は、ミッシェル・オスロ監督のアニメ映画「アズールとアスマール」(日本公開は2007年)の日本語版監修もしている。この映画について、高畑監督は、下のように解説した。


「アズールとアスマール」の主眼とは何か。それは、異なった人種や民族、文化圏などの間にある反目や偏見を取り除き、人々が相互理解と融和に向かうための基盤づくりに役立つことを、とびきり美しく面白く語ろう、という狙いです。(中略)フランスで迫害されたユダヤ人学者も、迫害のない寛容なイスラム世界では、同じよそ者扱いながら賢者・医者として生きられる。粗野で閉鎖的な中世ヨーロッパと、交流によって繁栄する中世イスラム世界。
反目や偏見をなくすためには個人と個人の付き合いこそ大切、と、こういう対比のなかで、オスロ氏はじつに個性的で面白い人物たちを活躍させます。そこがこの作品の一番の魅力です。」
http://www.ghibli-museum.jp/azur/critique/

映画「日本のいちばん長い日」より
三船敏郎と山村聰
http://livedoor.blogimg.jp/t104872/imgs/d/6/d6095e4a.jpg


 物語は同じアラブ人の乳母に育てられ領主の息子アズールと乳母の息子アスマールの話だが、ミシェル・オスロ監督はこの映画の制作意図について、
「一見対極に立っている2人が、実は、話し合えば言葉の壁すらも魅力の一つになって分かり合えるということを説明するために、北アフリカという場所を選びました。フランスに住んでいる移民の大半は北アフリカ出身なんです」と述べた。
http://yorimichim.exblog.jp/5886745/

映画の公式サイトより


 フランスなどヨーロッパ世界では、ムスリム系移民の排斥を唱え、イスラムに対する偏見をもつ極右勢力が台頭し、それによってもたらされる疎外感が「イスラム国」などに移民の若者たちを向かわせることになっている。中東イスラム世界の地図を見渡すと、多くの国々が紛争や暴力を抱え、「破局的」ともいえる状態にあるが、「偏見や反目」を超えて個人や国家がつき合っていくことが、世界の融和や安定を築くことになると思うが、それはヘイトなど危うい兆候が見られる日本についても言えることである。

アイキャッチ画像は 火垂るの墓
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/6c/3c5e977176dc971e069eacc3df03ee14.jpg?fbclid=IwAR3pxVAtEXtte1sIXO10xOvo4I-9nVDoiD8cwGfUAdrQ2GBuLcOgkuRHFRQ

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