イランの詩は教訓に満ちたものが多く、ハーフェズの詩の一節に
「さあ、希望の城はひどく脆い礎なのだから
酒をもて、人生の礎も風に漂うごとく脆いのだ」
といものがある。
東京外国語大学の佐々木あや乃さんはこの詩について、
「現代に生きる我々も全く同じことを思う。人間の生命は儚く、明日が必ず訪れる保証はない。しかし、だからといってハーフェズは刹那主義を振りかざしてなげやりな人生を勧めているわけではない。今を、この一瞬を大切に生きようという思いを込め、相手(読者)に呼びかけているのである」と解説している。(「ハーフェズ詩注解 (7)」- 東京外国語大学論集82号、2011年)と書いている。
過日も紹介したスペインの詩人フェデリコ・ガルシーア・ロルカ(1898~1936年)は、このハーフェズのガザル(短い形式の抒情詩)に傾倒していた。
ロルカは、ファシズムに傾倒する右翼活動家に殺害される直前に詩集を残したが、特にペルシア(イラン)の詩人オマル・ハイヤームやハーフェズへの強い傾倒が見られた。
ロルカが生まれ、育ったスペイン・グラナダのアルハンブラ宮殿を、スペイン最後の王朝・ナスル朝の宮廷詩人だったイブン・ザムラク(1333~1393)は、『グラナダとアルハンブラ宮殿の追想』の中で次のように詠んでいる。

ロルカを読む
https://thetv.jp/news/detail/37601/189620/
サビカの丘は誇らしげに王冠を戴いている。瞬く星たちが装飾を欲するとしたら、この丘に羨望を抱くことであろう。アルハンブラ、王冠の頂に置かれた一粒のルビーよ。神よ、これを守りたまえ。
聳え立つ塔には、天の十二宮も恥じ入る。十二宮のいずれの星も、アルハンブラの美しさに比べるべくもなく、宮殿の気高さと威厳によって、見劣りのする星々は地上へと落とされる。
アルハンブラの目には、神への敬いが宿り、夜明けのミナレット(訳注)の優雅な姿を見る恩恵が与えられている。一日の最初の光が一筋、東の空に繊細に輝き、星々を追いやるときに。
(ザムラクの詩の訳はhttps://www.amorc.jp/reference/material_066.html より)

https://carlusserrano.wordpress.com/2017/02/06/d-saad-recita-a-ibn-zamrak/?fbclid=IwAR3nIMHl89r6xI0Vye8cHt06aHO0_icc1FaQecwuSxSEYL-V5wdCvxNPlJk
イブン・ザムラクの詩はアルハンブラ宮殿にも刻まれているが、詩の表現、「そよ風の手」などの比喩はロルカの詩にも影響を与えていると言われている。
https://1library.co/…/yjkdl42q-influencia-ibn-zamrak…
アルハンブラ宮殿の獅子の中庭にあるザムラクの詩「この比類ない美しさに匹敵するものを見いだすことはアッラーでも難しいだろう」は日本の観光ガイドブックなどにも引用されてアルハンブラ宮殿の美しさを形容するものとして有名である。
アイキャッチ画像は
アルハンブラ宮殿
黄金の間の中庭
木工細工の帯状装飾にはイブン・ザムラク(Ibn Zamrak)がナスル朝宮殿に刻んだ詩が残されています。
https://www.alhambradegranada.org/ja/info/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%8A%E3%82%B9%E3%83%AB%E6%9C%9D%E5%AE%AE%E6%AE%BF/%E9%BB%84%E9%87%91%E3%81%AE%E9%96%93%E3%81%AE%E4%B8%AD%E5%BA%AD.asp?fbclid=IwAR01RszK8jW3M-z1odNDWp1h9qMgKACqx0tR_PU0axPCYux8_JFf4_1fl-E

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