ロシアのウクライナ侵攻を軍事的に支えるチェチェン共和国のカディロフ首長は18日、若者向けフォーラムの中で作戦の初動に間違いがあったことを認めた。また、中国の元駐ウクライナ大使で、中央アジア専門家の高玉生氏は、プーチン大統領がウクライナに送った部隊は敗北に向かって突き進んでいて、この敗北で大国としてのロシアは完全に過去のものになると述べた。(「ニューズウィーク」5月12日の記事)。
高氏が専門とする中央アジアでもロシアの前身のソ連は、16世紀以降にロシアが南下して征服した中央アジアを、民族的境界を画定し現在の「~スタン」と語尾がつく5つの社会主義共和国をつくったが、結局これらの5カ国はソ連の崩壊とともに独立していった。ロシアのウクライナ侵攻についても、ウズベキスタンはウクライナの主権の尊重を訴え、他の4カ国も沈黙するか、侵攻に支持を与えていない。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95310?page=2
―剣によって立つ者、必ず剣によって倒される
これは、「中村哲が14年に渡り雑誌『SIGHT』に語った6万字」と題するサイトの中で紹介されるマタイによる福音書26章52節の言葉だが、中村医師も「歴史上の鉄則」と形容している。
侵略者が必ず敗北するというのは近現代の歴史も教えるところだ。中村医師が活動していたアフガニスタンでも、米軍はほぼ20年駐留した後に得るものがなく、昨年8月に撤退した。
「侵略」とは武力をもって他国の主権を侵害することだが、侵略という国際法に照らして不当な行いは支配される側の人々の支持を得られることはなく、敗北して撤退することになった。フランスは1830年にアルジェリアを支配下に置いたが、アルジェリア人たちの反発を払しょくすることができずに、およそ130年後の1962年にアルジェリアから撤退していった。ヒトラーのドイツは電撃戦でオーストリア、チェコスロバキア、フランス、ポーランド、北欧諸国を占領したが、これらの土地を敗戦ですべて放棄した。第二次世界大戦で自衛の名の下に侵略戦争を行った日本も植民地や傀儡国家を放棄した。

https://www.arkansasonline.com/news/2019/aug/26/paris-marks-1944-liberation-from-nazis-/?fbclid=IwAR2zMGgzu4ybmilFuYReLPxGeHAnppfQfoR6j2WDwEgeJUCQ-9avTKbqgU4
ベトナム戦争でも、米軍とCIAが手を組み、北ベトナムと通ずると考える「共産主義者」を南ベトナムから一掃する破壊工作(フェニックス作戦)を始め、2万人以上が虐殺され、共産主義者が潜むとされた村が焼き払われた。「CIAの作戦はまるで見当違いで果てしなく暴走していった。私はCIAの一員として祖国アメリカを誇りに思っていたが それもベトナムに来るまでだった(CIA元工作員 ラルフ・マクギーの発言)」

https://natalie.mu/eiga/film/806060
ソ連は米国がベトナムに対して行ったような泥沼の介入を1979年末から80年代末にかけてアフガニスタンに行ったが、このソ連に対してレーガン元大統領は「(ソビエトは)悪の中核 侵略的行動をする悪の帝国だ」と語った。ソ連と戦わせるために、米国が武器・弾薬を提供し、軍事訓練を施した「ムジャヒディン」たちは、その後イスラム世界の過激な潮流をもたらし、「イスラム国(IS)」などの活動モデルとなり、いま、世界の混乱をもたらし、米国はテロとの戦いに国力を消耗させている。
侵略には何の報酬もないことを世界の為政者たちはよく知るべきだ。最新の拙著でも書いたが、十字軍が比較的長い期間東地中海地域を支配したのは現地の人々と宥和する姿勢があったからで、必ずしも武力で人々の心を制圧しようとする姿勢があったわけではなかった。
強き腕と指先の力もて
か弱き貧者の掌をくじくは罪なり
人々に正義を施せ
汝もし正義を与えざればむくい受ける日ありなん
―サーディー『薔薇園』(沢英三訳、岩波文庫)
アイキャッチ画像は下のページより

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15丸山 夕貴子、竹内實昭、他13人
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