外務省の領事局は、人気漫画の「ゴルゴ13」を使って海外渡航の安全対策マニュアルを公開している。ゴルゴ13の外務省・海外安全ホームページは下にある。
テロや銃撃が起きたら、とにかく素早く身を伏せ、逃げるか、隠れるか、瞬時に判断することが説かれている。近年テロが発生する中東や北アフリカ、ヨーロッパに出張したことがあるが、爆発や銃撃事件には遭遇したことがない。爆弾テロの場合は、ヤジ馬的に現場に見にいかないことが重要とされる。第一のテロ現場に人が大勢集まったところで、再度テロということがあるからだ。
中東イスラム世界では、過激派が標的にする傾向がある欧米人が集まるところは避けている。アフガニスタン・カブールにはセレナ・ホテルという最高級のホテルがあるが、ここも襲撃されたことがある。カブールでは、目立たない住宅地にある三つ星か、四つ星ホテルに泊まり、市内のレストランも地元の人が利用するところを選び、大通りにあるようなところには行かない。これはアフガニスタンだけでなく、テロが発生する可能性がある国では心がけたいところだ。テロリストはできる限り多くの犠牲者を出すことを考えるので、人混みのするところには可能な限り近づかないほうがよいだろう。大勢の欧米人観光客が集まるイスタンブールのグランドバザールなど歩いていて怖さを感ずることがあるが、それでも観光目玉には行きたいので、警備態勢などを見て判断したらどうだろう。

グランドバザール
2015年
海外では気を抜いて歩かないことも重要で、スリなどは観光客の気の緩みを狙ってくる。1990年代半ば、イスタンブールの金角湾に近いガラタ塔付近を歩いていたら、男二人が殴り合いを始め、そのうちの一人が私の体にしがみついてきた。しばらく歩くとポケットに財布がないことに気づいた。彼らはスリだったが、巧妙な手口に感心ばかりしていられない。財布の金額はたいしたことはなかったが、警察で盗難証明を書いてもらおうと思って、トプカプ宮殿の近くに「ツアーリズム・ポリス」があったことを思い出した。「ツアーリズム・ポリス」だから外国人旅行者が被害にあった事件をもっぱら扱っているのだと思った。タクシーに乗って、金角湾を渡り20分ほどかけてそこに行ったら、ここは犯行現場を管轄していないという。また金角湾を渡って戻り、教えられた所轄署に行った。そこで調書をとるのに2時間以上かかり、すっかり消耗してしまった。犯行の手口を伝えたら、「犯人は誰だか知っている。捕まえて日本に連絡する」と担当の警察官は自信をもって言っていたが、その後何の連絡もなかった。

トプカプ宮殿入り口
2007年
中東イスラム世界では人々は気さくに声をかけてくるが、本当に親切なのか、何か下心があるのかは、やはりその人物の顔つき、目の動き、話しぶりなどを見て判断するしかない。
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